燕の国と趙の国の争いのさなかの物語。ドニーさんは、燕王の義理の息子 雪虎(シェーフーって発音になるのかしら)、将軍です。前知識ゼロだったので、始まった瞬間、時代物だったのか!とびっくり。ジャケットも見たことがなかったので、なぜか現代劇だと思っていました。御髪を結い上げたドニーさん、たいそう別嬪であらせられます。別嬪にもほどがあるってくらい美しいです…
王が死んだことで跡目を継ぐことになった王の娘 飛児(雪虎の義妹ということになる)に武術の稽古をつけたり、飛児の想い人となった元戦士を認め、戦乱の危険から逃げるように言ってやったり、頼もしいお兄さんです。この元戦士は「セブンソード」にもご出演だったレオン・ライさん。黎明さんという美しい字の持ち主です。このころの各国に恐れられていた戦士の生き残りという役どころで、森の中で悠々自適に気球を作りながら暮らしています。
幼い頃から一緒だった飛児と雪虎は、本当の兄と妹のように結び合わされていて、気分の晴れない妹が物思いに耽っているところへやってきて、「どこへ行っても、最初に見つけてくれるのね」と悲しい微笑みを向けられます。王族とか、戦士とか、なにか宿命を受けて生きているひとって、名前と心だけが自由に滑空しているなぁという印象。妹とはいえ血は繋がっていないし、どれだけ気持ちを汲んだところで雪虎はどこか自分が“本流ではない感”を拭えずにいたかもしれません。歯がゆいだろうなぁ。兄なのに。
素敵な台詞がもうひとつ。「男の剣は人を殺すためでなく、大切なものを守るため」雪虎が段蘭泉(元戦士)にいう言葉です。燕は風を捉えて、時と場所を見極めて飛んでゆく。それを兄上も知っていたんだなぁと思わせる、一種の送る言葉ですね。この鍛えられた美しい心身の表れたことばに、できる男 雪虎を見ました。ここのシーン、森の近くを流れる小川(しかし幅が広いのはさすが中国、なのか?)が舞台なのですが、背景の木々の緑がとても綺麗です。淡く幻想的に広がって、ドニーさんやレオンさんの美貌を彩っています。
そしてこのあと、雪虎が敵対する国の軍隊に立ち向かわねばならない時が来て。部下が次々と倒れて行くくだりは…ワカドクロの無界屋炎上さながらでつらかった。部下が城門を閉ざして雪虎を行かせようとするところなんて特に。
物語の終盤には「SPL」以来の衝撃を受ける展開が。無敵だと勘違いして見ている節があります。壮絶な戦いでした。