BOOK SHELF
舞台・映画などの鑑賞記、感動をそのままに。
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since 2005.Feb
「ホワイトハウス・ダウン」
 何度か宣伝を見ていて、面白そうだなーと直感で、地上波放送にて鑑賞。ただのどっかんぼっかんかと思いきや、なかなか面白かったです。

 ありえないだろ!という展開がてんこ盛りで、事態が進展するたびにホワイトハウスを取り巻く状況や、主人公たちの形勢がどんどん困難なものになってゆき、どうやって収束させるのだろうかとちょっとハラハラ。テイタムさん演じる主人公の娘の“旗振り”が伏線を回収しつつ、小気味よく決めてくれ、大統領も戻り、娘とパパの微妙だった関係も修復され、色々と壊れたりめちゃめちゃになったりはしたものの、大団円でした。

 娘の旗振りではレミゼのガブローシュを思い出し、ちょっとほろっとしてしまいました。あとは思いがけずコミカルなくだりも。それが、主人公と大統領が同乗して犯人グループに応戦する庭園内カーチェイス。車で乗り回すには狭い敷地をぐるぐる回るのもおかしいですが、大統領がランチャーで主人公を殴ってしまったり、それをぶっ放したあとに落っことしてしまったり、緊迫した場面のはずなのに、いい具合にガス抜きがされて、笑いながら見ていました。

 ほか、ツアーガイドのひとがとても存在感がありました。
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
「ぼくのエリ 200歳の少女」
 かねてより気になっていたこちら、特異な少女(少年)と少年の12歳の邂逅です。とても純粋なところで惹かれあってゆくふたりの見つめあいが、透きとおっていて綺麗でした。でもきっと、時を重ねるほどにこのふたりは近づいて、同時に離れてゆかざるを得ないのかもしれません。それはひとえに、エリとオスカーの違いゆえ。同じはずだったけれど、違うようになってしまったゆえ。(なぜエリが**されなければならず、ヒトの血で生きるのか、明確な理由は描かれていない)それゆえに、エリがパパと言った庇護者と同じ運命を、この先オスカーが辿るのではないだろうかと思わせて、ふたりの出立を見ていてもなんだか切なくなりました。ふたりでいられるのが嬉しいけれど、エリはそれでオスカーが人並みの生き方をできないんじゃないかと思い始めてかなしくなる…オスカーはそんなエリを見てかなしくなる…ふたりでときどきかなしくなりながら、きっと幸せのうちに時が逆転する…。

 ヒトの血で生きながらえる者のお話ですと、割とその部分に焦点が当たりがちかなと思うのですが、これはその部分がただの特異体質みたいに描かれているのがいい。それが確かに人間とエリとの間では一種の壁になるけれど、オスカーとの交流がそれを軽々越えてゆくところの描写になっているので、無償の愛というか、もはやエリがエリであれば何者であっても構わないと言うのが、ぐっと来ました。ふたりが並ぶと、オスカーのほうが女の子のようで、妖精を思わせる色素の薄さが現実離れしています。

 パパとのお別れは、お互いが過ごしてきた年月の長さや、その間に知り得たことの重さを共有して今まで来たのだろうな…というのがあったので、つらかったです。エリを残して老いて死んでゆく自分をどう思っていたのだろう。エリにとっては、旅の友が老いて行くのはもう慣れたものかもしれないけれど。

 それにしても…よく見えなかったけれど、オスカーの表情からあれがコアなんだろうなと思った部分にぼかしが入っていたとは。…そりゃ見えないはずだ。配慮したつもりかも知れないけれど、それで物語の主旨が弱くなってしまうのはちょっとな…
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
「記憶探偵と鍵のかかった少女」
 マーク・ストロング主演のこちらは、対象者の記憶に本人と共にアクセスし、そこから事件や謎の核心に迫ってゆくという風変わりなミステリー。以前見た「鑑定士と顔のない依頼人」とタイトルの感じが似ていると思っていたら、物語も味付けの違う同じ食材と言う感じでした。


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posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
「謀議」
 コリン・ファース出演作品で未見だったこちら、レンタルがあることを最近知ったので、早速鑑賞しました。本作は、第二次大戦におけるユダヤ人問題の解決を巡る会議を題材にしており、およそ90分間の殆どが会議のシーンに費やされています。単調と言えば単調なのかもしれませんが、腹の探りあいとか、あの人の意見にこの人はこう思っているんだろうとか、そういう感応というか。表情の変化や言葉の抑揚が不思議と心地よく、それをつぶさに見られるのが面白く、引き込まれてしまいました。

 コリンは内務省次官のストゥッカートを演じています。字幕では博士と肩書き付きで呼ばれています。最初は議長のハイドリヒ(ケネス・ブラナー)に遮られていましたが、自分が整えた法のこと、信条を爆発的に語る見せ場があり、字幕を追うのも忘れて聞き入り、熱っぽい激しい様子に見入ってしまいました。一瞬で追うには難しい言葉の羅列が続くけれど、ここの長ゼリフは憤りを含みつつ彼の信ずるところを意見する、激しさのある芝居だなと感じたので、ぜひ堪能したいところです。起こった芝居、好きなのだと思う。

 この会議、もちろん銘々の意見できる場もあるのですが、あまりにも議長優位に進み、あまりにも摩擦が少ないような気がしたので、もしかして予め言うべきことを決められていて、形式上のみの会議になっていたのではないだろうかと思ってしまいました。自分たちのことでないから、人を人とも思わないようなことを平然と、さも世のためになるかのように悠然と話し合えてしまうのだろうか。

 本作には「ダウントン・アビー」のベイツさんことBrendan Coyleも出演しています。黒い企みを含んだような雰囲気…と思ってしまうのは、役柄なのかベイツさんのせいなのか(笑)。この方のラストネームって、何て発音するんだろう?コイル?コーウィル?

posted by Elie | COLIN FIRTH | comments(0) | trackbacks(0) |
「プリシラ」
 10年位前から気になっていた作品を、漸く見ることができました!オーストラリアの田舎町でショーを開催するためにおんぼろバスで旅をする、レディ3人の珍道中です。お互いの心にしまった踏み込まれたくない領域とか、ストレートの人々の好奇の目、差別的な扱いを受けたりしながら、彼らの結束は不思議と乱れることなく目的地を目指します。

 ラ・カージュでもあるように、アイデンティティとかそういう話ではあるのですが、彼女たちはもうマスカラや口紅は心身ともに実装済みで、メンタルで折れて不和が起こるとかはたぶんもう乗り越えてきているのかなと。いちばん調子のいいフェリシア(いちばんマッチョなのにいちばん可愛いガイ・ピアース、「イングリッシュ・ペイシェント」「Genius」など)も、きっとあすこに落ち着くまでは相当荒れたのではないかしら。と想像します。本作は外からの目に対してもはっきりと描かれていて、生きることの難しさとか複雑さを思わずにはいられませんでした。

 が、ティック(主人公、12月の亜門さんミュージカルではいっくんが演じる)のワイフの磊落さを見ていると、案外シンプルなのかなとも。息子ベンジーも真っ直ぐに育っているようで、そこに希望が見えます。また、2度か3度、心無い態度を示した輩にベルナデット(性転換した最年長のおねえさん、リリー・エルベを知っているかしら)が一括する場面はスカッとします。おっと、と思うのは、目が慣れなくて奇怪に映るだけなのだと思うのです。ラ・カージュにしてもプリシラにしても、むしろ彼女らの方が人生を謳歌しているように見えて、いつもいつも羨ましくなる!ゲイの友達がほしい。

 ハイヒールの標識の向こうをプリシラ号が走ってゆくのが象徴的。おねえさんたちの道が拓けてデデーンと生きているから、これからここ通るアンタたち、毒気にあてられないように注意なさいよ。みたいな。自分の中の性と、社会的なものと考えてしまうとどうしても重くなりがちですが、ナチュラルに生きてゆこうとしているコメディなので、気軽に楽しめます。
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「イノセント・ガーデン」
 ふぉろわさんが推してくれたこちら、エロティック・サスペンスとして宣伝されていたようですが、本当にそうでした。気取ったり作ったりするエロスではなく、体臭とかフェロモンのような、どうしても押さえられずに匂い立ってしまうもの。追い払おうとしても引き寄せられてくるひと、そうして相手の匂いにも毒されてゆく身体。危ないほうへゆきたいのじゃなくても、抗えなくて進んでいってしまう。そんな感じで、少女はまったく思いもよらない羽化をして、美しい悪魔を潜ませた女性になっていったのでした。

 観終わってすぐに、何だこれ…何だこれ…と独り言が漏れてしまうほど、殴られたほどの衝撃ではないにしても、動くと痛みが増すようなとても放ってはおけない場所をざっくりとやられた感じです。エロティックであり、残忍でありながら、無垢。まるで子どもが虫をいたぶるみたいな…感情的な意図がなくてこわいのです。できごとの中心となるインディアとチャーリーは、ふたりして眼の動きや何やが動物的に感じました。ふたりの間には、互いの感覚器官にしか刺激を与えないフェロモンが作用しているかの如く。叔父と姪という、近いようで遠く、遠いようで近い、みたいな関係もえろい…。

 チャーリーを演じたのは「シングルマン」で初めまして、「イミテーション・ゲーム」で俺様な役柄の素敵さに気付かされたマシュー・グッド。くりっとした宝石のような目が印象的で、少年のようにも、紳士のようにも見え、唇に秘密を隠したような、ちょっとミステリアスな感じのする方です。とにかく彼の陰惨な瞳が…すごい破壊力でした。森の中でインディアを見つめる、期待と満足の顔。靴を送るくだりでインディアを見上げる瞳。そうして見つめてくる瞳に吸い込まれてしまいそうになります。本当、挙げたらキリがない。途中から、インディアが歩くとチャーリーを感じるようにまでなっていました。インディアとの連弾シーンはとにかくえろい。映画観ながら倒れそうになったのは久しぶりです。靴を絡めたいかにも性的な狙いのありそうな場面も舐めるように撮られていました。

 全体的に、非常に毒性の高い作品でした。返す前にもう一度見る!

posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
「バルフィ! 人生に唄えば」
 公開当初、LiLicoさんがイチオシとして紹介していたのと、予告編が面白そうだったのに観に行けなくて、今頃になってようやく。聞こえず、喋ることのできないバルフィが、ふたつの恋を経験するお話。

 見慣れている欧米の作品とは違った感覚があるような気がしました。逃亡劇や、状況の転じ方、ちょっとストーカーっぽいバルフィのアピールの仕方など、極端に描かれていてそこがコミカルで笑ってしまいます。とてもまんがみたいで、ミスター・ビーンとか、チャップリンとか、そんな雰囲気。でもそういうところからふわっと心が解きほぐされてゆくのが、ひとがみんなこうだったらいいのにねという一種の理想のようにも見えました。

 絵に描いたような美女との恋路も、自閉症を持った少女との交流から芽生えてゆく愛も、それぞれに微笑ましくて、ドラマチックでした。心が通い合ったときに差す光と、それを失ったときのコントラストがよかった。色彩と表情の美しさが印象的な作品でした。時系列がばらされたものが、パズルのように少しずつ完成されてゆくのに引き込まれます。
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コリン出演作品2周目
 まだ未見の作品も幾つかありますが、差し当たりレンタルしやすいものを再見しています。

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posted by Elie | COLIN FIRTH | comments(0) | trackbacks(0) |
「コードネームU.N.C.L.E.」on BD
 「キングスマン」の直後に見てはまった映画のBD!心待ちにしていました!「キングスマン」は全国公開から3ヵ月後に初めて観て、その20日後にはBDを手にしていたので、割と波に乗ってはまった本作は、今日までを長く感じました。本編を自宅で気軽に楽しめてしまうほか、製作風景なんかもとても気になっていたので、特典映像も楽しみにしていました。

 驚いたのは、思った以上に実写で、スタントマンの吹替がほぼなしで撮影されたと言うこと。人間のアクションでも、のりもののアクションであっても。あと監督の言葉で「撮りたいものを撮る、考証は二の次。それでもリアルだと信じさせることができる。だってファンタジーだから」(うろ覚え)というのに感動しました。こだわりの強さと、思い切りのよさ、勘が鋭いひとと言う印象です。

 初見から、ホテルにチェックインするウェーバリーおじさんに大フィーバーしていたのが、いまも相変わらずそのシーンに来るとぐぐぐっと前のめりになってしまいます。終盤の大見せ場ではしっかり指揮官としての姿も見せてくれるので、本当にこのおじさんおいしい。メインの人物が集合する場面では、何箇所か吹替でも鑑賞しました。大好きウェーバリーおじさんをはじめ、だいたい自分のイメージ通りでした。聞き捨てならなかったのはヴィクトリアとの交信を「ソロくん、任せる」というところ。これも個人的なイメージなのですが、ウェーバリーおじさんはソロくんのことを日ごろから「ソロくん」と呼びそうだなぁと思っていたので、戦慄しました。妄想が現実となった…。さらにこの呼び方、ミスター・ソロからの、ソロくんを経て、最終的には呼び捨てになっているのですね。作戦上でも、言葉の上でも、彼がソロくんに寄せる厚い信頼を感じずにはいられません。

 あとギャビーが「最初から父はいない」とちょっと涙を滲ませて言うところ。このひとは幼い頃からそうやって自分の中の何かを殺して生き延びてきたのかと思うと、胸が締めつけられます。一時は精神を病むほどにおそらく父と言う存在に固執しているクリヤキンと、逆に淡白になろうとしてきたギャビー。彼らが淡く惹かれ合うのもまた運命的というか、何かが出会わせたのかもしれないと考えてしまったりして。

 エンドロールではイスタンブール編のスナップショットと思われる画像が使われており、続編への期待を否が応でも煽られるのですが、なかなかその噂は聞こえてきません…観たいなぁ、続編…
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
「リリーのすべて」
 予告編ですでに涙がこぼれてしまった本作を、公開初日に見てきました!やはりというか、アイナーを送るところとリリーを送るところはどうしても涙が止まりませんでした。リリーにとって本当だったのは、リリーでいられた時間だけかもしれないけれど、ゲルダにとってはアイナーも本当だったから。とても懐が広く、彼女自身もまた真実を持って夫を想っていたのだなと、そしてそれは愛の一言では足りないくらい。

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