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舞台・映画などの鑑賞記、感動をそのままに。
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「トゥー・ウィークス・ノーティス」
 ヒュー・グラントとサンドラ・ブロック主演のラブコメ。暫く前に友人にお勧めいただいていたのを漸く鑑賞しました。(少なくとも私の周囲では)ダメ男を演じさせたら並ぶ者なしと評されるヒュー、本作の監督にもラブコメには貴重な存在というお墨付きを頂戴しているようでした。「ラブ・アクチュアリー」「ブリジット・ジョーンズの日記」と、彼のフィルモグラフィーに必ず挙がる作品は確かにラブコメ、そしてどの役も割と、子どもっぽい茶目っ気があって、皮肉屋さん。本作も似た感じはありますが、これが実にチャーミングなのです。“どうにかしてあげたい”存在のように感じます。

 どう見ても正反対のタイプのふたりですが、もうこれは絶対に一緒になるべきと思ったのが、彼らがカフェで食事をしている場面。同じメニューを食べるのですが、ジョージ(ヒュー)がルーシー(サンドラ)のグラスに自分の分の氷を移したり。互いの皿から、ルーシーがサラダのトッピング(カリカリしたやつ?)を、ジョージは赤紫の野菜を取っていったり。このときの、これ苦手だからあげる、じゃあこっちからはこれ、といったやり取りなしに、当たり前のように行なわれたシェアがとても印象的でした。

 本作のOPが秀逸で、ヒューとサンドラの若い頃のお写真をあしらっているのですが、ふたりのあまりの天使ぶりになかなか本編に進めませんでした。貴重なお写真の数々、そして本編で不器用に惹かれあうふたり、氷を逃がして笑い出してしまうヒュー(NG集;上記食事シーンのもの)、どれもこれも萌死ぬものばかりですので、ぜひいかがですか(笑)

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切手と魔女
■JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク 於:KITTE

 東京駅の隣にある施設内の無料ミュージアムです。2フロア(いずれも各フロアの一部)に渡り、昔の理科室みたいなショーケースや壁一面の棚にずらりと並んだ骨格、鉱物、化石の数々。板張りの床は歩くと乾いた足音がして、背筋を伸ばすと自分が知的になったような気分までしてきます。骨格標本が多く、オキゴンドウ、キリン、ウマの全身骨格に圧倒されました。思わず頚椎を数えてしまいました。
 鉱物の横に鳥獣の標本があったり、骨の上に爬虫類の全身標本があったり、円筒形のケースに前腕骨が一本入っていたり。また、民俗学的な遺物の一画にクジラの腰椎が切り株のように置かれていたり。奥の間などは休憩用のベルベット張りの古びたソファまで据えられて、装飾机に化石やアンティークが陳列されていたりも。顕微鏡や映写機の一画もあり、収集家であり研究者でもあるひとの邸宅を覗き見るような、或いはそういう研究が盛んに行なわれていた時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥りました。
 たいへん見応えがあり、入場料を払いたくなる充実ぶりです。


■魔女の秘密展 於:ラフォーレ原宿

 なかなかに面白かったです。薄暗い会場内には、蜘蛛が巣を張った本棚があったり、ショーケースも無機質で潔癖な現代の研究室のものではなかったように記憶しています。雰囲気作りからこだわりを感じる展示でした。佐々木蔵之介さんによる音声ガイドは2種類。白猫は普通、黒猫は抑制した含みのある声での案内でした。専用のペーパーにタッチペン式なので、同行者がいればそれぞれに別のを借りてピッピし合って、内容を全部聴けてしまいます。片方にしかない項目もあれば、同じ項目もあるので、聞き比べが楽しいガイドでした。
 本でしか見たことのなかった拷問具の実物(レプリカかも)の使い方や効果(?)まで示されていたのが興味深かったです。あとウィキッドに出てくるような分厚くて巨大な古い書物とか、双頭の標本とか。最後のほうにある火炙りのモニターに、見物人を装ったスリが紛れてるので、ぜひそこもチェックしたいところ。父が気付いて、わざわざ確認しに戻ったら、スリ以外にもそれぞれに反応が違って面白かった。
 結局魔女って、心の中に生まれた不安とか恐怖を発散させる対象を見つけてしまうと、別の快感てかそういう何かが生まれて、目的を見失ってあらぬ方向にエスカレートして行っちゃう、その対象、という印象。以前買った魔女狩りの本、これを機に読んでみようかな…
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「ブライト・スター いちばん美しい恋の詩」
 「パディントン」で主人公のクマさんの声を担当されたベン・ウィショーくんの出演作品。詩人ジョン・キーツを演じています。とても繊細で情感豊かでした。水をやったあとの土とか葉の瑞々しさ・湿り気のようなものを感じました。語り口は淡々としているけれど、心の内は決してそうではなく、熱く潤んでいるのでした。

 「ピアノ・レッスン」と同じ監督だからか、全体的な風合いは似ている印象なのだけど、本作はとてもプラトニックで、侵せないなにか崇高なくらいの領域にふたりが生きているようにすら感じられました。時間をかけて育まれてゆく愛情と共に、どんどん澄みきってゆくふたりの時間が、とてもとても愛おしかったです。後半でふたりが交互に詩を諳んじるところは、まるでひとりの人間がすらすらと口にしているかのように一体感があって、この辺りではもう前知識なく見ていても永訣が待っていることが窺われたので、結ばれるべくして出会ったふたりが抗いようのない力で別れようとしている切なさがありました。

 それでも、ふたりが微笑み交わしたり、窓越し・壁越しにコンタクトを取り合ったり、人目を忍んで口づけしたり、幸福そうな様子を見ると、死ぬ前に出会えてよかったのかな…とも。きっとお互いのことを思いながら過ごした時間は、人生の中でいちばん輝いていたに違いない、と思うのであります。



登場する猫がとても可愛い。それを可愛がるウィショーくんも可愛い。詩を朗読する声が夢のようにふわりとして、少し高くて、優しい。
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「シャーロック・ホームズ」
 数あるシャーロックの中でも、今回見たのはガイ・リッチー監督作品の映画です。原作にももBBCドラマにも触れたことがなく、本作がホームズ初体験。周りの洋画ファンが口を揃えて面白いというのと、コリンと何度も共演されていて、物凄く存在感があって魅惑的なマーク・ストロングの悪役が見たいというのが大きなきっかけ。だって、あのセクシーvoiceでダークなこと言われたら、絶対たまらんでしょ。

 あのコミック的なリズミカルさとシリアスさがうまいこと混ざり合ったアンクルを撮った監督の味を感じる幕開きでした。馬車に乗っているかのような揺れが臨場感ありました。あと手前と奥で同時進行するアクションを、絶妙なタイミングで見せるやり方がうまいなぁと。不思議とコミカルに見えてくるのです。

 ホームズとワトソンの関係は探偵とその助手だったと思うのですが、友人または相棒的な関係なのが素敵だなと思いました。溝に嵌ったのを助けるところ、保釈待ちをしているところ。流れ流れた末に没入して突き進んで生き生きしてくるホームズと一緒に冒険に出たくてたまらなくなってしまう、あるいはどことなく危ういホームズを放っておけないワトソンくん。ふたりは仲良し。

 マークが演じたのは、黒魔術で世界を変えようとするブラックウッド卿。大きな襟のついた黒いコートを着て、不気味な微笑を浮かべて暗闇から現れます。その本質は、科学の力を悪用して社会に恐怖をもたらすサイコな男。きっと彼も、少し試してみるところから始まったのだと思うのですが、もはや神通力のように自分の操る科学の力を考えて、傲慢で、芝居がかった、まじないがかったようすを見せるのが恐い。特典映像でご本人が役作りでこだわった点として挙げていた“意志の強さ”、それこそ狂信的なくらいの意志の強さが本当に恐ろしいです。そんな風だから、最後に敗北・命の危険が迫ったとき、ハの字眉で命乞い(ロープを切れ…ロープは上下両方に伸びていたから、切ることは救助にも抹殺にも繋がるのだけど、あれだけ必死に抵抗していたから、きっと生きたかったのかな)とか、このひとは何かを楯にしていないと歩いていけないんだろうとちょっと哀しくも思われたのでした。クライマックスで、撓んだ鎖の上に落ちて一瞬とどまるショットと、父親を殺害するシーンで彼の手から指輪を外すときの伏目がとても…えろかったです。

 あまり特典映像の期待できないレンタルですが、コメンタリーのような、監督が本編映像を見せながら解説すると言うものがついていました。画面の4分の1サイズの小窓に撮影風景とかインタビューが映ったりも。アンクルでも、こういう洒落たもの作ってくれるといいな!!願わくば、監督とウェーバリーおじさんのダブル解説で。
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刀舞鬼―KABUKI―
主なキャスト(敬称略)

鬼丸:松本利夫
数珠丸/吉備津彦:早乙女太一
菜切/青江:島袋寛子
三日月:丸山淳史
雉田:早乙女友貴
村正爺さん:黒川忠文
大包平/婆さん:山本栄治
大典太:安田桃太郎
猿飛:黒川恭祐
兼定:久保田 創
犬飼:富田昌則
和太鼓:露木一博、佐藤晃弘

@天王洲 銀河劇場 3階C列センター

 最近は映画に狂っているので他への目が届かなくなっているのですが、週の頭にたまたまつけっぱなしにしていたテレビから太一くんと友貴くんの出演情報をキャッチ!立ち見だとか追加だとかが売り出されるほどの人気演目のようでしたが、幸運にもチケットを譲っていただけたおかげで、観に行くことができました。ありがとうございました!!

 おふたりとも、本ッッ当にかっっっっこよかった!!!!彼らが扇と長刀で舞うところなんて、最高かよ……としか言葉が出てこないくらい、もう華麗で華麗で、とにかく感激しました……。太一くんが扇で舞うところは確かこの場面だけで、ほかは役柄上、刀を持っていることが多かったです。ご兄弟での対決は「蒼の乱」や朱雀の舞台でも堪能しましたが、今回も華やかで素晴らしかった。好対照、好敵手、強いて言語化するならそんな言葉が浮かびます。舞いの延長のように流麗で繊細な太一くん(お召し物の裾と太刀筋が同じ!)と、壮麗で骨太で男ぶりのする友貴くん。彼らが舞台上に現れたら、どんな小さな一瞬でも見逃したくない!と思います。おふたりの雄姿を思い出しながら、太一くんには冷たく瞥見されたのち袈裟懸けに斬られたいけど、友貴くんには長刀をねじ込まれたいなぁなんて考えるのでした。


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コリン・ファースと一夜を共に
 大好きコリン作品のオールナイト上映に行ってきました!ラインナップは、コマ送りで切り取った写真集が欲しいくらい完全無欠な美しさを誇るトム・フォード初監督作品「シングルマン」、ル・カレ原作のゲイリー・オールドマン主演で難解であるとの声が多い「裏切りのサーカス」、そしてキレのあるアクションシーンを演じて話題の最新作「キングスマン」。特に前二者は過去の出演作品で、叶うならばぜひともスクリーンで見たいと思っていた作品なので、この機会を逃す手はありません。

 振れ幅が大きいとか大化けするとかいう印象は、個人的にはさほど強くないコリンですが、並べてみると各作品で驚くほど違う顔をしているのがよくわかります。繊細で確かな演じ分け。今回のラインナップもコリンの演じた3人の人物というより、まったく違う3人がいたのでした。そしてうまくいえないけれど、彼をみて気付いたら虜になってしまって、感動にうち震えている。どの役にも共通しているのは、ほっぺたがにっこりと持ち上がるチャーミングな微笑み。ハニートラップにまんまと引っかかった感満載でした。

 会場は初めて行く場所で、200席以上のキャパを有しながらもローカルな映画館。定期的に過去作品のオールナイト上映を企画している、映画ファンには貴重な場所かもしれません。椅子の座り心地がよく、作品の合間の20〜30分くらいしか身動きは出来ませんでしたが、尻が爆発するとか腰が逝くとかはありませんでした。音響も素晴らしく、ご一緒した方によると爆音上映に近いようでした。DVDで観たときには聞こえなかった音がたくさん聞こえてきて、新たな感動に咽ぶのでした。特に「シングルマン」でジョージの最後の呼吸が、気管と粘膜を感じさせる音が聞かれて、これまで以上にジムを愛し続けるジョージを愛おしく思いました。「裏切りのサーカス」でも床板を微妙に軋ませる密やかな足音がよく聞こえたり、「キングスマン」ではハリーの瞬きの音までが聞こえてきそうでした。




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「キャロル」
 洋画ファンの評価が高かったのと、広告の雰囲気に惹かれたのとで、観に行ってきました。物語が始まるや、舞台になっている50年代の服飾とか色合いの虜になり、カメラワークも大変好みでした。あえてのフレームアウトとか、覗き見みたいなアングルとか。


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「Re:LIFE〜リライフ〜」
 ポスターになっているヒュー・グラントの雰囲気にとても惹かれて、観に行ってきました。シナリオの書き直し(リライト)と、人生の転換期をかけた、再出発がテーマ。

 終盤、頑なに自分の主張を守り続けた先生さえもマイケルズ先生に感化されているのが、とてもほっこりして(手提げ!)、やはり外からの刺激を受け入れる柔軟さと言うか、寛容さはもっていたいなぁと感じたのでした。先生だけではなく、互いに干渉しないで教室に座っていた生徒たちが自由にしてお喋りしていたりして、みんなが影響し合っているのがわかったのが良かったです。自分の領域をかたーく守りそうなゴス系の女の子が、隣の席の子のイチオシ映画でまさかの号泣したり。

 自分の心が動くことを見逃さずに感じていたいものです。人生deleteはできないけど、ブラッシュアップはできるんだなぁと、真っ直ぐに聞こえてくる作品でした。ユーモアやジョークも散りばめられていて、キャラクターのギャップにとても愛嬌があったりして、じわじわ染み入ります。マイケルズ先生はリタイア後のウェーバリーおじさんという目でも見てしまって、二度美味しい(笑)。パンフの表紙のアンニュイな雰囲気、彼が味わってきた人生を感じさせて、最高です。
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「ビリー・エリオット ミュージカルライブ」
 スクリーンで上映中にどうしても見に行けないままになってしまった舞台の映像。ようやく観れましたぁぁぁぁ!!!!大画面で見られなかったのが本当に悔しいです。映画の良さとミュージカルの楽しさが融合していて、すごくドキドキしました。特に、SWAN LAKEの音楽を使って少年と青年のビリーが踊る場面は、彼の未来の姿を感じさせる青年とのユニゾンでビリーの秘めたる才能を見せつけ、彼は羽ばたかなくちゃいけない!と思わせます。1幕ラストでどうしても踊りたいんだ!踊ることしか考えられないんだ!と感情を爆発させるビッグナンバーも、ただただ引き込まれてしまいました。これを舞台人とは言え少年の歳のひとが演じたとは到底思えないほどの迫力がありました。

 ビリーのママ(故人)が何度も言い、彼の指針にもなってゆく“自分らしく”ということが、都合よく肯定してしまう言葉でなく、結構ずんと来ました。そこのメッセージ性にも通じるであろう、これぞミュージカル!なマイケルの大見せ場もかなり面白いです。その辺のコメディ役者もたじろぐほどの大熱演。彼も登場するラストシーンは、舞台なのに映画のワンシーンのように素敵でした。映画をもう一度見直したくなりました。

 カテコには、公演中に青年のビリーを踊った方々なのか、大勢のダンサーが総出演して、女性たちはみんなチュチュを着て、クアトロキャスト?もっと?の少年ビリーもたくさん出てきて、大賑わい。楽しくハッピーなカテコでした。ダンスシーンでもうひとつ面白かったのは、労働者とバレエ少女たちがペアになって踊っているところ。現実と夢のように真逆の色彩と世界にあるものの共存が面白い。労働者とそれを取り締まる人々のラインダンスもユニークだったな。

 これを日本人キャストで上演するということですが、これほど心を掴んで止まない主人公が見つかるのか、プライドロックのようなビリーの部屋がそのまま再現されるのか、楽しみです。
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漂流劇 ひょっこりひょうたん島
キャスト(敬称略)

井上芳雄:マシンガン・ダンディ
安蘭けい:サンデー先生
山下リオ:博士
小松和重:テケ
山田真歩:プリン
一色洋平:海賊ドタバタ
久保田磨希:チャッピ
内田紳一郎:ダンプ
真那胡敬二:海賊トウヘンボク
大森博史:海賊ガラクータ
中村まこと:海賊ヤッホー
串田和美:国際警察官らしき男、演出・美術・脚本
小松政夫:トラヒゲ
白石加代子:ドン・ガバチョ

ミュージシャン(敬称略)

アラン・パットン(アコーディオン)、馬谷 勇(ギター)、ギデオン・ジュークス(ベース/チューバ)、木村おうじ純士(ドラムス/パーカッション)

@Bunkamura シアターコクーン 1階SD列上手側


 突然都合がつき、ふぉろわさんに譲っていただけることになり、観に行くことが出来ました。ありがとうございました。

 舞台にはカンバスか太鼓のように布か革を張ったような円形の盆になっていました。その一部がすこし客席側にせり出しており、その部分を囲むように配置された4列3ブロックが特設S席として販売されていたようで、このたびはその特設S席に座ることが出来ました。盆の表面や奥の方の様子はあまりわかりませんでしたが、役者の表情や衣装の模様、客席下りを間近で見られました。

書いたらネタバレっぽくなったので畳みます。


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posted by Elie | DANCE, BALLET, PLAY | comments(0) | trackbacks(0) |