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二都物語 千穐楽
主なキャスト(敬称略)

シドニー・カートン:井上芳雄
チャールズ・ダーニー:浦井健治
ルーシー・マネット:すみれ
マダム・ドファルジュ:濱田めぐみ
ドファルジュ:橋本さとし
ドクター・マネット:今井清隆
バーサッド:福井貴一
ジェリー・クランチャー:宮川 浩
サン・テヴレモンド侯爵:岡 幸二郎
ジャービス・ロリー:原 康義
ミス・プロス:塩田朋子
弁護士ストライバー:原 慎一郎

指揮:西野 淳

@帝国劇場 2階C列上手サブセンター


 ご縁がありまして、当初予定になかった千穐楽に行ってまいりました。お芝居もアドリブも豊かになっていて、さらに見応えのあるどっしりとした作品に進化していました。

 赤い作品の楽日には、劇場のかみさまが弾幕を払わせぬことで抗議をなさるらしい。と途中で感じたのだけれど、どうやらそんなことではなかったようです。前半にあるナンバーの最後に、背景を色付けるトリコロールの弾幕が払い落とされるのですが、上手側だけぶら下がって残っていたことに今日気づきました。補足すると、「ルドルフ」の楽日には、最後に払い落とされる赤い弾幕が、ばさっと鮮やかに決まるはずが半分残ってしまったのです。あれには、観客の名残惜しい気持ちが伝わってしまった心地がしたもの。しかし二都ではあえてぶら下げたままにしたトリコロールは、気持ちを断ち切ることの難しさ…アシンメトリーにあおられる不安…そんなものの暗示なのでしょうか。首のようにバッサリとゆかないのが人の心なのかなと、改めて宙ぶらりんになったトリコロールについて考えました。



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この夏、展示会もう3つ
■特別展「深海 挑戦の歩みと驚異の生きものたち」2013/07/27

 海の底や宇宙は、好奇心をくすぐられつつも少し怖い…という神秘的な感覚があります。深海なんて、常に光が届いて魚たちが集まったり散ったりしている珊瑚礁と違い、いつ何が目の前を横切るかわからない、この闇が何に続いているかわからない、そういった吸い込まれそうな怖さがあります。

 序盤、いきなり深海の温度を体感できたり(アクリルだかガラスだかの表面温度を触ってみることができる)、貴重なホルマリン漬けが展示されていたり(水族館ではないので生き物の展示はない)、終盤では食卓に上る深海魚が食品サンプルとともに紹介されていたりという日本人ならではの感覚も見ることができました。意外と日常でも口にするのですね、深海魚。とはいえ、浅い水深から深海までを泳ぎ回る生息域の広い魚が多かったです。

 この展示の目玉はダイオウイカですが、これも本物は勿論ホルマリン漬けで、白くふやけています。マッコウクジラが食餌とし、その鼻先を傷つけるほどのパワーと体格を持ったダイオウイカであるのに、彼らの攻防が繰り広げられるのは光も届かぬ深海。ゆえに実際の光景は未だ日の目を見ませんが、いずれその日も来るのかもしれません。全部が解明されてしまうと、吸い込まれそうな怖さのある深海はどのような世界になってしまうのでしょう。

 いまでこそそんな風に新事実が発見されたり、解明されたりしていますが、それをできるような技術が発達する以前に、地球環境の変化で未知のまま永久的に眠ってしまった生命の物語だってあるはずです。想像も及ばないけれど、誰にも知られないまま消えてしまった世界にも、思いを馳せたくなりました。

 ところで、とてもツボだったのがメガマウスという魚。その名の通り、口が巨大なのです。何故だかじわりじわりと笑いのツボを刺激され、展示会場をあとにしても暫く笑っていると言う有様でした。

於:国立科学博物館


■浮世絵 Floating World〜珠玉の斎藤コレクション 2013/08/18

 浮世絵の有名どころといえば、北斎や歌麿、国芳といったあたりが筆頭に上がるのでしょうが、誰の手によるものかは私にはあまり関係ありませんでした。絵師が生きた時代、絵師の目に映ったもの、それらが絵師の感覚を通して数百年後にまで伝わっていると言う不思議なめぐり合わせが面白く、また写真並みに細かな記録と、写真以上に洒落た印象的な構図は、ずっと見ていても飽きません。

 特に印象に残ったのは、輪郭線をぼやかした浮世絵。とても新鮮でした。絵師は小林清親。僅かに揺らぐ水面に映る光の表現が、西洋で言うところの印象派に通じそうなところがあって、大胆かつリアルな着物の皺や、ざっくりとしたポーズのいわゆる浮世絵の王道とは一線を画していました。他の絵が、記録的な写真を見ている感覚ならば、清親の作品は挿絵か絵画を鑑賞しているくらい、展示室の色合いからして違っていました。彼は社会的な事情で画風を‘いわゆる浮世絵’に変えてしまったそうで、残念でした。

 ところで、本展示会で最も大きな出来事は、浮世絵ではないところから起こりました。浮世絵に影響を受けた画家の作品も要所で公開されていたのですが、その中に、10年ほど前にブリヂストン美術館の企画展で出会った作品があったのです!まさかの再会に大興奮でした。ヴィクトール・プルヴェの「阿片」という、淡い色鉛筆画のようなリトグラフです。初めて見たときになぜかとても惹かれるものがあり、色々と検索したのですがなかなかオンラインで画像を見つけられませんでした。今でもカラーのものを見つけることはできませんでしたが、雰囲気だけでも

於:三菱一号館美術館


■杉江みどり 切り絵展 2013/08/18

 杉江さんは文楽の切り絵を作られる方です。猫や犬の可愛らしい作品もありますが、私は文楽を通して出会いました。色使いや線がどうのというのはないのですが、再現力の高さが物凄く、遣い手の感情がこもった表情に見えるのです。文楽が見たくてたまらなくなりました。

 「天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)」の再々演を待っているのと、歌舞伎で見た「熊谷陣屋」を文楽で見てみたいという思いが強くあります。他の観劇やらでなかなか都合がつかないのですが、文楽好きなのですよ。

 猫の切り絵では「盗っ人被り」という、黒いイケ猫が盗人のように手拭いをかぶり風呂敷を背負っている作品が気に入りました。背中の風呂敷は若干膨れており、目尻と瞳孔の尖った目は鋭いのだけれど、ちゃっかり仕事をしてきたあとと思うとなんだか可愛くて仕方ありません。

 杉江さんの作品のごく一部を見ることができるページ

於:ギャラリーくぼた
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「風立ちぬ」
 淡々とした語り口だからこそ鮮やかに描き出される描写、というのが気に入りました。大らかで、純粋で、綺麗なままで。優しい寓話のような、儚い宝物のような、両手でそっと包み込まなければ壊れてしまいそうなお話でした。何か強烈なことが起きるわけではないけれど、ひたりひたりと心に染み入ってくるのです。そんな雰囲気ながら、エンジンやプロペラの唸り、大地の唸りが、地獄のかまどが怒る音のように迫りきて恐ろしい。高原の平和な描写とのコントラストが鮮やかです(このシーン、当時は今より10度近く気温低かったのだよね。と思いながら羨ましく見た)。


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 首都クロム管理人 Elie
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二都物語
主なキャスト(敬称略)

シドニー・カートン:井上芳雄
チャールズ・ダーニー:浦井健治
ルーシー・マネット:すみれ
マダム・ドファルジュ:濱田めぐみ
ドファルジュ:橋本さとし
ドクター・マネット:今井清隆
バーサッド:福井貴一
ジェリー・クランチャー:宮川 浩
サン・テヴレモンド侯爵:岡 幸二郎
ジャービス・ロリー:原 康義
ミス・プロス:塩田朋子
弁護士ストライバー:原 慎一郎

指揮:西野 淳

@帝国劇場 1階V列上手サブセンター


 ため息にも色々あるけれど、今のこれは息継ぎだと思う。劇場の中と外とを辛うじて繋ぐ呼吸。ため息のたびに、こちらの世界に戻ってきている感じがしています。

 カートンの決断は、22番のお針子(保泉さん)は驚いていたけれど、彼にとっては何も崇高なことではなくて、彼自身の言う通りのお返しであり、そのほかの何ものでもないのだと思います。感謝ただそれだけ。ルーシーに触れられた時に瞬いたのと同じ星空(即ちカートンの心に瞬いた星)と言うのが、彼の気持ちをそのまま物語っている気がします。どうしたらここまで自分を差し出せる?…ギロチンを模った階段を上るときの晴れやかな顔、生まれる前にいたところに旅立つ、子供のように純粋な…重いだけでない、なんとなくカタルシスもあるような幕切れでした。ミュージカルより芝居に近い鑑賞後感といい、舞台の基調色といい、「ルドルフ」に似た感じ。ただ、「ルドルフ」は綺麗なのだけど、その中に一本通った揺るぎない軸の確固たるに殴られたというか、突きつけられたというか、そんな心地がしました。今回の二都は、荒廃した時代の土煙がそのまま吹きつけてくる感じで重い。確かに重い、けれど、カートンの純粋さやダーニーの誠実さを忘れたらいけません。重たい中での清涼剤でありつつ、その清涼さそのものが重くもなり、且つやはり清涼であるこのバランスは、主演お二方の存在をおいて他には成し得ないかもしれません。

 浦井さんも芳雄さんも、おふたりとも歌声が、聞いたことのないくらい深く豊かになってらして、それが溶け合うナンバーなど雄大な海に抱かれている心地がしました。ホタルイカだけに(笑)。これの前がStarSだったという落差がそもそも(笑)。

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「るろうに剣心」
 地上波放送の録画を見ました。予告編は何度かスクリーンで見ましたが、迷っているうちに終映してしまい、あのざくざくとよく切れる、ワイヤーアクションのかっこいい殺陣を見ずにいたのです。今回の放送を見て、藤原竜也さんの志々雄さまも楽しみですし(“世の中、所詮、弱肉強食”を彼の芝居で、と考えるだけでワクワクする)、続編は映画館で見たいなと思いました。聞くところによると、地上波に乗せるにあたり相当な量がカットされたとか。それも含め、続編封切の前に復習も要するかと。

 私にとってこの作品は、まずは漫画でした。友人から借りて読破したものです。和月先生の、劇画でありながら少女漫画のように柔らかな描線が大好きでした。日高先生の描線を太くしたような趣があると思うのです。映画は、そんな漫画の世界・漫画のラインをよく再現していました。特にあぁこれ!と思ったのは、剣心がずざざーっと着地すると同時に、刀の切っ先を自分の背側に深く引いて他方の手を地面につき、身を低く構えるポーズ。恵さんの再現力も素晴らしい。私にとって蒼井優ちゃんの最新の記憶と言えば、ゴエロク3の猫の目お銀ですから、ツンとした美女を演じるのにピンと来なかったのですが、きつい目元を演出するメイクや、元来お持ちのほわりとした雰囲気を頬に残した容貌は、恵さんは彼女しかいまいと思わせるに足るものでした。可愛らしさを匂わせつつも恐ろしく落ち着き払った芝居も、なかなかに素敵でした。もうお一方、あまりドラマや邦画を見ないので、「ちりとてちん」以来だったかもしれない草々兄さん。豪気な役がとても似合いますね。素手と素手のぶつかり合いになった途端に目を輝かせて、猪突猛進を絵に描いたような感じでした。

 たけだかんりゅう邸の庭で群れvsふたりの構図を見ながら、あすこに剣を持たせた早乙女さんちの太一くんを放り込んだら…と考えたら、ばったばったと人が倒れて道が開けてゆく、あまりの鮮やかさにワカドクロを見たくなりました。これもそのうちゲキシネ祭りのラインナップでまた見られるのよね…?

 るろうにの世界観というか精神に、弦の唸るような、蟲の鳴くような、幾重にも重なった歌とも音ともつかぬサウンドがぴたりとはまっていました。斬らずに断ち切る、その心は……。自ら負った業を、すすぐのとは違うかもしれないけれど、ちゃんと受け止めようとして生きてゆく姿がいいなぁと思うのであります。
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
春琴
出演(敬称略)

深津絵里
成河
笈田ヨシ
立石涼子
内田淳子
麻生花帆
望月康代
瑞木健太郎
高田恵篤
本條秀太郎(三味線)

@世田谷パブリックシアター 1階L列上手


 観に行けそうとなったときにはチケットは完売。しかし巡り合わせは、いい時はとことんいいもので、当日譲っていただくことができました。まさか見られるとは…!!本当にありがとうございました。

 このご縁のお陰で、またひとつ、言葉にしようとすると自分がバカみたいになってしまう世界を見てしまいました。もっと感動を伝える表現力があったならば。と悔しさに歯軋りしつつも、例によってメモしておきます。


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posted by Elie | DANCE, BALLET, PLAY | comments(0) | trackbacks(0) |
劇団四季 ウィキッド(鑑賞通算3回目)
主なキャスト(敬称略)

グリンダ:苫田亜沙子
エルファバ:樋口麻美
ネッサローズ:保城早耶香
マダム・モリブル:中野今日子
フィエロ:飯村和也
ボック:山本 道
ディラモンド教授:斎藤 譲
オズの魔法使い:佐野正幸

@電通四季劇場 [海] 2階7列下手側


 東京に帰ってくるのを待っていました。という事で、開幕2日目に早々と鑑賞。

 この作品には、楽しかった♪では終わらない重みがあります。人の数だけの思いや理想や願望や、そういったものがせめぎ合い、錯綜する…華やかなだけではなく、きちんと描きこまれている感じがして、見応えがあります。開口発声で我に返る以外は、四季の舞台を見ている感じがあまりしません。

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posted by Elie | MUSICAL | comments(0) | trackbacks(0) |