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舞台・映画などの鑑賞記、感動をそのままに。
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since 2005.Feb
宝塚BOYS 2013
キャスト(敬称略)

上原金蔵:吉沢 悠
竹内重雄:良知真次
星野丈治:中河内雅貴
長谷川好弥:入野自由
竹田幹夫:上山竜司
山田浩二:小林大介
太田川 剛:板倉チヒロ
君原佳枝:初風 諄
池田和也:山路和弘

@シアタークリエ 13列センターブロック上手寄り

 本来なら行けないはずでしたが、某さんとの間で話題に上ったので見たくて堪らなくなったのと、奇跡のシフトが巡ってきたのとで、思い立ったが吉日の突発観劇。笑ったり泣いたり、すごく心を揺さぶられる大好きな作品です。あの時代、戦後の混乱期、夢を信じてみんなで一丸となって頑張る姿には、感動せずにいられません。

 叶った夢、叶わなかった夢、嬉し涙、悔し涙、すべての汗を吸い込み、生徒たちや男たちを抱いていた稽古場。そこから、叶わなかった夢のレビューに展開してゆくクライマックスを見つめる池田さんの背中、遠い微笑みの浮かんだ頬。悲しいけれど、ここで見た夢、というかけがえのなさが胸に迫ります。

 この作品の中でたびたび登場する“夢”という言葉は、時代背景のためなのか、いま使われるそれよりも生きることに深く繋がっているように感じます。つらい体験のあとで、娯楽を求めた人々、華やかな世界を作ることを追求した人々、そんなことを思いながら聞く、劇中劇でマリーを演じる君ちゃんの“さぁ、夢の続きを”や、宝塚を離れる決意をした池田さんの“私もまだまだ、夢の途中だ”は、歴史を意識させてしまうくらいの重みがあるように思われます。



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「シンドラーのリスト」
 9月に上演が決まっているミュージカル「SEMPO」は、日本のシンドラーと呼ばれた杉原千畝さんの物語です。それならば本家のシンドラーについても知っておきたいと思い、これを機に先延べになっていた作品を借りてきました。長尺だとは聞いていましたが、なんと4時間40分。本編が2枚に分かれたDVDなんて初めてでした。

 それはともかく、これが人間のやることかと思うと恐ろしかったです。無知から来る恐怖(?)が膨れ上がり、残虐な行為へと駆り立ててしまう力。銃器がなくても、兵士たちは拳で同じことを出来たのだろうか…?ホロコーストについては、10歳くらいの頃にアンネ・フランクのことを知ってから、ちょこちょこと文献などで読んではいましたが、「戦場のピアニスト」(初見再見)でも感じた胸の締め付けられる感じを、今度も感じました。やるせない。。

 まるで聖人君子のように讃えられているシンドラーの行動が、実は金儲けに端を発していたと言うのは今回知りました。彼が子供(本編中ではダンカ)を救い出そうとするときの説得が印象的です。

 “彼らも熟練工だ。この指を見ろ、この手が25mmの弾薬の奥まで磨き上げる。大人の指が奥まで届くか?どうだ?”

 台詞の細部は朧だけれど。このときのシンドラーの目には、金儲けのための交渉とは全く違った灯が燃えていました。

 もうひとつぐっと来た彼の言葉は、最終盤、シンドラー夫妻がチェコを出てゆこうという別れの場で発せられます。

 “このバッジは金だからあとふたり救えた、いやひとりでもいい、人間ひとりだぞ。しかし私はその努力をしなかった…”

 と自らをなじるように、経理係を勤めた男性に呟くところ。心の大きさ・広さ・豊かさ、そして彼の本気に感動しました。ひとつの生命がどれだけ重く、肩に、掌に感じられたことでしょう。ひとりの力には限界があるけれど、それがまずは大切なのだと。

 SEMPOこと杉原千畝も、法的な手続きとか決まりごとではなく、自分の気持ちに従う道を選びます。“従うのは人間(ひと)か、道か!”というのは舞台のあおり文だけれど、暫く前に立ち読んだ伝記漫画の当該シーン、“幸子、私はビザを書くよ”と自分の気持ちに従うことを決意したところにたいそう感動して、本屋の子供エリアでひとり泣いてしまったのでした。
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ゲキ×シネ「蛮幽鬼」
主なキャスト(敬称略)

伊達土門/飛頭蛮:上川隆也
京兼美古都:稲森いずみ
方白/刀衣:早乙女太一
稀道活:橋本じゅん
ペナン:高田聖子
音津空麿:粟根まこと
稀浮名:山内圭哉
遊日蔵人:山本 亨
京兼惜春:千葉哲也
サジと名乗る男:堺 雅人


 大画面で見られるチャンス!上映初日に行って来ました。

 DVDで鑑賞済みではあったけれど、やはりスクリーンでの迫力に勝るものは生以外にはないので、またとない機会です。思った通り、家庭用テレビのサイズでは見落としている幾つかに気付けました。

 ひとつは道活さまの小芝居。方白ちゃんの舞が始まった時、曲の歌声に合わせて“アー(´□`)♪”という顔していました。どの作品でもそうだと思いますが、きっと映っていないところでも抱腹絶倒のアクションをされているに違いありません。じゅんさんご出演の作品をDVDとして売り出す際には、じゅんさんだけを追いかけたじゅんさんチャンネルの特典映像をぜひとも収録して欲しいです。

 もうひとつは、飛頭蛮の髪飾り。お粥〜協議問答辺りと、脇の髪まできゅっとまとめた復讐の黒衣とで違うものを着けていたのですね。後半では髪留めの金属部分が大きく丸くなり、石の色が褪せたように薄く薄くなっています。積年の怨念を晴らさんと奔走する行動に、次第に意味を見出せなくなっている。目的がぼやけ始めている。赤ん坊が泣き止み損ねていつまでもぐずぐずしているように、引っ込みがつかなくなり、復讐が闇雲化しつつある。そんなイメージを受信しました。



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レオ・レオニ 絵本のしごと
 「スイミー」と「あおくんときいろちゃん」しか知らなかった作家。しかし結構著作があることに驚きました。どれも子供のみならず大人の目も惹く、綺麗な色彩と親しみやすい絵柄。それらがゴム印やちぎり絵で表され、可愛らしく、和みます。

 絵本の粗筋と挿絵の展示でしたが、ちょっと絵の見せ方が雑かなと言う印象でした。はじめに粗筋を見せて、そのあとに数点の挿絵がまとめて並べられているのですが、その挿絵にはなんのキャプションもなし。どんな場面かを想像させる趣向…?

 初めて触れるお話ばかりだったけれど、中でも「アレクサンダとぜんまいねずみ」が特に気に入りました!“ウィリーを僕と同じねずみにして?”って!

 やさしさが全体をふんわりと包むような作品ばかりでした。

於:Bunkamura ザ・ミュージアム
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Matthew Bourne's DORIAN GRAY

キャスト(敬称略)

ドリアン・グレイ:リチャード・ウィンザー、大貫勇輔
バジル・ホールワード:クリストファー・マーニー、鈴木陽平
レディーH:皆川まゆむ
シリル・ヴェイン:大野幸人
ドッペゲンガー:アダム・マルケス、丘山晴己
エドワード・ブラック:森川次朗
エイドリアン・シングルトン:安村圭太
ハード・ハットフィールド:木原浩太
アレン・キャンベル:原田みのる
シーシー:矢島みなみ
エスペランザ:鎌田真梨、谷古宇千尋

@オーチャードホール 1階7列センター下手寄り(UK)
              3階3列どセンター(JP)


 英国で初演されて以来ずっと、来日を心待ちにしていました。New Adventuresの来日公演として観られるのを切望していましたが、発表されてみたら日英混合の配役でした。マシューの描くジャンキーだけれどemotionalで思慕や羨望や悲哀を含んだ作品世界を、これのためだけに集められた(つまりマシューのことばを今回初めて話す)日本人には表現し得ないのではないかとすら危惧しましたが、大好きなマシューの作品、それも長らく観たいと願っていた作品を逃す手はありません。

 そしていま、久しぶりに彼の世界で泥酔しています!殴りつけるような音楽と、執着・憧憬・自傷他害とに満ちたダンスにぐいぐい引き込まれました。疾走感があったので、いっそ休憩はいらないとも思いました。幕間前後にインパクトはありましたけれど、最後まで一気に駆け抜けたかった!という気もします。


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「モンスターズ・ユニバーシティ」
 無駄な努力とか、いらないひとって、きっとこの世の中には(彼らの世界にも)ないのでしょう。これはやはり作り手側に根付いた宗教観が滲むのかもしれません。マイクのキュートさはモンスターに生まれついた不運かもしれないけれど、あの指導力は素晴らしい。血統にものを言わせて自分自身では何の努力もしないサリーと、凄まじい努力でここまでやってきたマイクが力を合わせ、ドアを爆破する勢いでモンスターの世界に戻ってくるくだりでは、自然と適材適所におさまって、化学反応して、最大級の実力を発揮するのを目の当たりにして、思わずぐっと来ました。一見するととても頼りなげなやつが、ドカンとかます。ピクサーとかディズニーにはよくあるパターンかもしれないけれど、これが実に爽快。自分が背を向けなければ、きっと結果はついてくるのだなと、大らかな気持ちになれました。


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「ドリームガールズ」
 作品が公開された年のアカデミー賞に食い込んでいたように記憶しています。以前から興味はあったのですが、最近、劇中の曲を聞く機会が増えたこともあり、これを機に借りてきました。

 ビジネスにこだわらないで作ったものには、特に深く魂が宿る気がします。プレイヤーが本当に表現したいこと、観衆が求めるもの、売り手側の思惑、それらがピッタリと一致することは至極難しそうですが、思いが表現に乗った時のパワーはそれはそれは凄まじく、ただただ圧倒されるばかり。エフィのソウルフルな歌声は、彼女が登場しない場面でも彼女のことを考えてしまうほど存在感があり、強烈な印象を残します。演じたのはジェニファー・ハドソン。唇を結んできゅっと微笑むのはもちろんキュート。物凄い剣幕で相手を罵る姿さえ、セクシーで度胸があってかっこいい。信じる強さ、守ろうとする強さ、その反対側にある脆さを、全部持っている気がしました。

 ガールズたちの運命を転がし始めるのは、エディ・マーフィーが演じる歌手。彼が喋ると、「シュレック」に登場した口の達者なドンキーがまくし立てているようで、思わず笑ってしまいました。演者が同じですものね。ドンキーですと嫌にならないのに、この歌手は同じ喋り方をしてもむかつく(笑)。これが芝居、なのか。

 あと、終始考えていたのは、ジェイミー・フォックスが誰かに似ているということ。四季の志村さんだと思います。

 「バーレスク」並みにどかーんと華やかな色に溢れているのを想像していたけれど、もう少し大人っぽい感じでした。ショーも、ガンガン揺さぶりに来ると言うより、叙情的。
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英国ロイヤル・バレエ団 不思議の国のアリス
主なキャスト(敬称略)

アリス:ベアトリス・スティックス=ブルネル
ジャック/ハートの騎士:ルパート・ペネファーザー
ルイス・キャロル/白うさぎ:エドワード・ワトソン
アリスの母/ハートの女王:ゼナイダ・ヤノウスキー
アリスの父/ハートの王:クリストファー・サウンダース
マジシャン/いかれ帽子屋:スティーヴン・マックレー
ラジャ/イモ虫:エリック・アンダーウッド
侯爵夫人:フィリップ・モズリー
牧師/三月うさぎ:リカルド・セルヴェラ
聖堂番/眠りネズミ:ジェームズ・ウィルキー
料理女:クリステン・マクナリー
召使い/さかな:ルドヴィック・オンディヴィエラ
召使い/カエル:蔵 健太
アリスの姉妹たち:リャーン・コープ、エマ・マグワイア
執事/死刑執行人:ポール・ケイ
3人の庭師:アクリ瑠嘉、サンダー・ブローメルト、ジェームズ・ヘイ
不思議の国の登場人物たち:英国ロイヤル・バレエ団

指揮:デヴィッド・ブリスキン
オーケストラ:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

@東京文化会館 2階3列下手


 動画サイトでチラリと見て、ゼナイダのハートの女王に爆笑して以来、是非本物を見てみたいと願っていた作品。来日すると聞いてからとても楽しみにしていました。

 正直、PDDが冗長に感じられた部分もありましたが、見終わってみると最高のエンタメ作品でした。穴に落っこちるところとか(うさぎ穴ではなくトランクが変形する)、落っこちた先の家が涙で溢れてしまうところとか、Drink Me、Eat Meのくだり(背景の半分をスクリーンにした映像表現)で大きくなったり小さくなったりするところとか、イモ虫のWho are you?とか(JOYの声が脳裏に蘇った)、映像をうまくつかって、まるで絵本の世界に迷い込んでしまったかのよう。


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シレンシオ
出演者(敬称略)

原田知世
梶原暁子
川合ロン
藤田桃子
小野寺修二
首藤康之

@東京芸術劇場プレイハウス 1階O列センターブロック下手寄り

 「空白に落ちた男」で描ききれなかったもうひとつの部屋を開けたような、小野寺幾何学がそこにありました。空白で言えばあの場面に相当する、と言うのが幾つも見られ、でもあれよりもっと大人の童話的な感じがしました。原田さんの佇まいがそもそもそんな印象でしたので、空白の世界に彼女を加えると、シレンシオに色を変えるのかもしれません。

 空間の行き来が驚くほど自由な小野寺幾何学。何もないところをあたかもあるようにマイムで見せる、或いはしっかりと存在するものを無きものとして扱うなど、2回くらい前の瞬きまではそこにあったものが、いま別のものに姿を変え、あれっと思うが早いか自分と見知らぬ男の立場が逆転している…とか。コース料理を味わうときに次々と配膳されるものの循環や、着ようとした上着が誰のものかとか、もう何が真実なのか、何が本来の姿なのか、どこまでが現実なのか、境界線が溶けてしまっていて心地が良いです。

 吹き込む風で新聞が暴れるのや(爆笑!その後、第三者的な探りの視線を感じさせる演出が少し怖かった)、幾つもの机や人を隔てながらひとりの相手と向かい合っているのが、面白い!当事者と傍観者の入れ替わり、始めと終わりでカウンターを逆から見ている、視点をひょいと裏返してしまう鮮やかさたるや…。どのような世界を見せてくれるのか、と期待して劇場に入ったけれど、終演後には、小野寺さんにはどのように世界が見えているのか、と考えていました。

 ベニサンで見た空白以来の梶原さんのダンスに釘付けになりました。死体と少女を兼ね備えた風のような踊りが好きです!倒れるときも起き上がるときも、するりと滑らかなのが人間離れしています。

 首藤さんには今回もソロパートあり!ストイックな気品に溢れた、清涼感があるのだけれど悩ましげなところもある、不思議な色気を放つ踊りに酔いました。

 「空白に落ちた男」の感想:初演再演
posted by Elie | YASUYUKI SHUTO | comments(0) | trackbacks(0) |
「ハッシュパピー バスタブ島の少女」
 舞台や映画は思い立ったが吉日。と言うわけで、この日しか行けないかもしれないと言う日に見事決めてきました。

 子供の記憶はきっとこんな風に繋がっていて、奇跡(ママ!本当のママではないと思うが、雰囲気はきっと彼女のようなひとだろう)とか、驚きとか、喜びが、浜で拾った石ころや貝殻や珊瑚の箱詰めみたいになって、大いなる財産になるのだろうな。という印象でした。物語はきちんとひとつの流れを持っているのだけれど、ハッシュパピーにとって強烈だった出来事や場面にイントネーションが置かれていて、観終わったあとに断片的な印象もなかったとは言えません。でもそういう筆致が好きです。

 乙事主さまの親戚のように巨大な動物は、少女の恐れの象徴だと認識しています。あいつらが引き返したということは、少女に覚悟ができたということなのか…。死を見届ける覚悟、愛するものを看取る覚悟…が。

 生き物を耳に当てて鼓動を感じていたハッシュパピー。その音が耳元で途切れたのは、あれが初めてだったのでしょう。これからきっと新しい世界をたくさん見てゆくことになるのかもしれない、と「デッドマン」のラストシーン?の葬送を重ねながら、幕。
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |