「銀河鉄道の夜」
2012.05.27 Sunday
七夕に公開される「グスコーブドリの伝記」と同じスタッフの作品です。キャラクターは、タイタニック号の乗客以外は全て猫。ジョバンニの四肢と尾の先は深い青色で、その丸い指先が物を持つことの可愛さと言ったらありません。ブドリのキャラクターを見ると、どうも主役が先端だけ深い色をした青い猫、準主役が赤く前髪のある猫、というコンセプトのようなものがありそうです。直立した猫なので、胴体から脚にかけての緩やかに膨らんだラインが心を和ませますね。丸い瞳が幻想的なものを、魅入られたように見つめ、小さな口が小さなため息をつくように何か言いたげに開いている様子は、それだけでこちらを賢治の世界に引き込んでしまう力があったように思いました。キャラクターを手がけたますむらひろしさんは、賢治作品を幾つか漫画化しているようなので、こちらも読んでみたいところ。
賢治の作品には、大気越しに宇宙を見上げて、或いは天文写真を見て吸い込まれそうになるときに感じる、遠く遠くで震えるような怖さと言うか、心細さと言うか、そういうのを読後感として感じているのですが、このアニメーションを観終わったあとも同じ感覚になりました。色合いで言えば、藤城清治さんの作品がいい。彼の挿絵絵本も出版されていて、綺麗なのです。アニメーションに関してひとつ難を言うなら、台詞と音楽の音量のバランスが悪い。音楽のみのところはそれに語らせたい意図があるのかもしれないけれど、台詞に合わせた音量調整をしているとかなり音楽がうるさい。
暮れ方の暗い森の中の一本道を独りぼっちで歩いているときに、ギャアギャアと鳥が喚いて頭上で羽をばたつかせても、もしかしたらジョバンニは、震え上がってしまうであろう同級生と違い表情さえ変えないような気がしました。みんなに囲まれているザネリと違い、父も帰らず、母も病気がちなので、きっとどこか現実的な部分もあると思うからです。それとか、風の鳴る音が死んだ人の囁きだとかいう類の身の毛のよだつ空想をしてみる一方、あの風は僕と同じでひとりぼっちかしら、自分がどこへ行くかわかって駆けて行くのかしら、ということも考えそうです。
この作品のテーマは“ほんたうのさいはひ”と思いますが、さそりのお話が「よだかの星」に通じていたり、賢治の作品を貫いている清らかなエッセンスを見つけて何だか嬉しくなったりもしました。
このお話、先日の「宮沢賢治が伝えること」で本当に読んで欲しかったです。段田さんがナレーションで、小泉さんがカムパネルラ、浦井さんがジョバンニ。或いは後二者は逆でもいいと思います。浦井さんの歌う『星めぐりの歌』と併せて、聴いてみたかったなぁ…(かなり切実)。星めぐりと言えば、本編では牛乳をもらいに行くジョバンニがザネリと出くわし、冷やかされるくだりでこれの旋律が使われていました。やはり聴いて知った音楽は、微かであってもわかりますね。
賢治の作品には、大気越しに宇宙を見上げて、或いは天文写真を見て吸い込まれそうになるときに感じる、遠く遠くで震えるような怖さと言うか、心細さと言うか、そういうのを読後感として感じているのですが、このアニメーションを観終わったあとも同じ感覚になりました。色合いで言えば、藤城清治さんの作品がいい。彼の挿絵絵本も出版されていて、綺麗なのです。アニメーションに関してひとつ難を言うなら、台詞と音楽の音量のバランスが悪い。音楽のみのところはそれに語らせたい意図があるのかもしれないけれど、台詞に合わせた音量調整をしているとかなり音楽がうるさい。
暮れ方の暗い森の中の一本道を独りぼっちで歩いているときに、ギャアギャアと鳥が喚いて頭上で羽をばたつかせても、もしかしたらジョバンニは、震え上がってしまうであろう同級生と違い表情さえ変えないような気がしました。みんなに囲まれているザネリと違い、父も帰らず、母も病気がちなので、きっとどこか現実的な部分もあると思うからです。それとか、風の鳴る音が死んだ人の囁きだとかいう類の身の毛のよだつ空想をしてみる一方、あの風は僕と同じでひとりぼっちかしら、自分がどこへ行くかわかって駆けて行くのかしら、ということも考えそうです。
この作品のテーマは“ほんたうのさいはひ”と思いますが、さそりのお話が「よだかの星」に通じていたり、賢治の作品を貫いている清らかなエッセンスを見つけて何だか嬉しくなったりもしました。
このお話、先日の「宮沢賢治が伝えること」で本当に読んで欲しかったです。段田さんがナレーションで、小泉さんがカムパネルラ、浦井さんがジョバンニ。或いは後二者は逆でもいいと思います。浦井さんの歌う『星めぐりの歌』と併せて、聴いてみたかったなぁ…(かなり切実)。星めぐりと言えば、本編では牛乳をもらいに行くジョバンニがザネリと出くわし、冷やかされるくだりでこれの旋律が使われていました。やはり聴いて知った音楽は、微かであってもわかりますね。