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舞台・映画などの鑑賞記、感動をそのままに。
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「銀河鉄道の夜」
 七夕に公開される「グスコーブドリの伝記」と同じスタッフの作品です。キャラクターは、タイタニック号の乗客以外は全て猫。ジョバンニの四肢と尾の先は深い青色で、その丸い指先が物を持つことの可愛さと言ったらありません。ブドリのキャラクターを見ると、どうも主役が先端だけ深い色をした青い猫、準主役が赤く前髪のある猫、というコンセプトのようなものがありそうです。直立した猫なので、胴体から脚にかけての緩やかに膨らんだラインが心を和ませますね。丸い瞳が幻想的なものを、魅入られたように見つめ、小さな口が小さなため息をつくように何か言いたげに開いている様子は、それだけでこちらを賢治の世界に引き込んでしまう力があったように思いました。キャラクターを手がけたますむらひろしさんは、賢治作品を幾つか漫画化しているようなので、こちらも読んでみたいところ。

 賢治の作品には、大気越しに宇宙を見上げて、或いは天文写真を見て吸い込まれそうになるときに感じる、遠く遠くで震えるような怖さと言うか、心細さと言うか、そういうのを読後感として感じているのですが、このアニメーションを観終わったあとも同じ感覚になりました。色合いで言えば、藤城清治さんの作品がいい。彼の挿絵絵本も出版されていて、綺麗なのです。アニメーションに関してひとつ難を言うなら、台詞と音楽の音量のバランスが悪い。音楽のみのところはそれに語らせたい意図があるのかもしれないけれど、台詞に合わせた音量調整をしているとかなり音楽がうるさい。

 暮れ方の暗い森の中の一本道を独りぼっちで歩いているときに、ギャアギャアと鳥が喚いて頭上で羽をばたつかせても、もしかしたらジョバンニは、震え上がってしまうであろう同級生と違い表情さえ変えないような気がしました。みんなに囲まれているザネリと違い、父も帰らず、母も病気がちなので、きっとどこか現実的な部分もあると思うからです。それとか、風の鳴る音が死んだ人の囁きだとかいう類の身の毛のよだつ空想をしてみる一方、あの風は僕と同じでひとりぼっちかしら、自分がどこへ行くかわかって駆けて行くのかしら、ということも考えそうです。

 この作品のテーマは“ほんたうのさいはひ”と思いますが、さそりのお話が「よだかの星」に通じていたり、賢治の作品を貫いている清らかなエッセンスを見つけて何だか嬉しくなったりもしました。

 このお話、先日の「宮沢賢治が伝えること」で本当に読んで欲しかったです。段田さんがナレーションで、小泉さんがカムパネルラ、浦井さんがジョバンニ。或いは後二者は逆でもいいと思います。浦井さんの歌う『星めぐりの歌』と併せて、聴いてみたかったなぁ…(かなり切実)。星めぐりと言えば、本編では牛乳をもらいに行くジョバンニがザネリと出くわし、冷やかされるくだりでこれの旋律が使われていました。やはり聴いて知った音楽は、微かであってもわかりますね。
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
「ダーク・シャドウ」
 ティムとジョニーが組んで面白くないわけがない。と思って観にいきました。これを「シザーハンズ」や「チャーリーとチョコレート工場」や「コープスブライド」などなどと比較してしまえば、正直なところ切れ味はやや鈍っているかも解りませんが、作り手が、装置・視覚効果・演技など、どこにこだわったか、どういった悪乗りをしたか、アイデアを加えたか、など考えながら観るのは楽しいものです。この作品に関しての、私にとっての最大の見所は、アスファルト体験(この表現面白かったので拝借いたしました)から始まるバーナバスくんの現代生活。箪笥に入って眠っているのなんて、何だか肩身が狭そうでした(笑)。

 ダークメルヘンというのか、家に幽霊が出るとかはアトラクションのホーンテッドマンションに近い味がし、結局西洋モンスター勢揃い(というほど多種多様ではない)なところは「リーグ・オブ・レジェンド」を思い出させたけれど、そういう展開の中でキャロリンのエピソードはとってつけたような印象。確かに、普段の目つきや身構え方が、後から思えば人間らしからぬところはあったように思いますが、もっと掘り下げて欲しかったところ。しかし「ヒューゴ」のときとは役柄がガラリと違っていて面白かったです。一方、アンジェリークの徹底した悪魔女ぶりは寧ろ痛快。

 いい味出していたのは、監督もお気に入り(?!)というお婆ちゃん。彼女だけが日常感を失わずに画面に映り込んでいて、和みました。アンジェリークの反吐を拭いてあげた後、床を這う虫(Gかフナムシか)を見て、あぁもうお掃除が大変だわ、とばかりの反応をしたところいちばんそう感じました。

 ヴァンパイアのラブシーンはやはり重力と切り離されるのでしょうか。「ドラキュリア」でも、特にルーシーとのそれがそうでしたが。

 お屋敷改装の場面でカーペンターズを選曲するダジャレ(と思ったのですがw)が仕込まれていたり、落ち込んでオルガンに突っ伏し、額で不協和音を奏でたり、地味な笑いが散りばめられていました。原語がどうかわかりませんが、アンジェリークのおppaいに対し神妙な顔で“しぼんではおらぬ”と言っていたのも可笑しかったです。

 オチは容易に想像できましたが、こういう後日譚の存在をにおわせる幕切れは好きです。
posted by Elie | JOHNNY DEPP | comments(0) | trackbacks(14) |
宮沢賢治が伝えること
キャスト(敬称略)

小泉今日子
浦井健治
段田安則

音楽・マリンバ演奏:中村友子

@世田谷パブリックシアター 1階N列上手ブロック中央寄り


 何年も前から聴いてみたいと思っていた浦井さんの朗読、ようやく念願が叶いました!時に声色を使い、きらきらと綺麗なものや柔らかく優しいものを胸に大事に抱くようなお声は、想像通り、賢治のまぁるいことばにぴったりと寄り添っていたのです。その心地よさは、賢治風に言うと、からだがすきとほつてまるで空にとけてしまつたやう。とても心が満たされました!歌ではないのに耳福状態という初体験に、ほろ酔いしています。


 緞帳のない舞台、手前に深い茶色の(恐らく木製の)机があり、ストローのささったペットボトル水がそれぞれの場所に置いてありました。その後方、二段ほど高くなったもうひとつの舞台には楽器が。これが、全編にイーハトーヴの風を送り込むマリンバでした。背景は中央部が縦に広くスクリーンのようになっているようで、ここに朗読される作品のタイトルや、作中の台詞などが縦書きで表示されました。

 幕開きはマリンバ。風がさざめき、枝々は鳴り、どんぐりたちがおしゃべりを始めると(このコロコロとした音は、思い描いていた賢治の世界の音そのもの!)、読み手が登場します。上手に浦井さん、中央に小泉さん、下手に段田さん(定位置)。彼ら座る木の机の周りを、全集等の古ぼけた本が囲むように置かれていました。

 数編の童話と短い詩の間に、短歌が挿入される形で、進んでゆきました。後半には『星めぐりの歌』が流れ、その間、舞台照明は落ち、吊り物の幕に星空のライティング。白鳥の停車場など、花巻方面を旅行したときに見たものを思い出しながら、ゆったりと聞き入りました。

 以下、プログラム順に徒然。括弧内は読み手・敬称略。
 リンクは詩や物語の本文に、「星めぐりの歌」は動画サイトにリンクしています。

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posted by Elie | DANCE, BALLET, PLAY | comments(0) | trackbacks(0) |
蔡 暁強先生の特別ワークショップ≪JAZZ基礎≫クラス 2012その五
 先生のお仕事の都合か、先月唯一のWSがキャンセルになってしまったので、1ヶ月ぶりでした。その間もほぼ毎日、このWSでやる床運動(?)の縮小版をやっていたので、筋肉や感覚は完全には衰えてはいないと思いますが、やはりこれだけ間が開いてしまうと体が動くか不安です。今日はタップダンスとの掛け持ちで、いい具合に温まってほぐれてからのシャオチャン先生でしたので、幾分動きやすかったです。

 フロアでは、足の裏を合わせるように軽く胡坐で座して、コントラクションつけて骨盤以上を前屈したり後ろに倒れるようになったりという、縦に円を描くような動きがありました。

 他に登場した新しい動きは、連続ピルエット。ダブルターンではなく、シングルからパッセを下ろさずもう一回転、という、フェッテの初級のようなあれです。本当の名前が解りません。インパッセはお腹で集めてくるような感覚で。ルルヴェは当然、体を引き上げる意識でやるけれども、下りるときもそれでやって、軸足のところにパッセの足を下ろしてくるように意識して、と。一気に全部の指示は言わないけれど、常にそれらを意識して、全部をクリアするように。それを基礎にしての、連続ピルエットなのでした。“今日はこれ、振付に入れちゃうからね〜”と悪戯っぽい笑顔が可愛い先生。踊りに親しんで10年以上になりますが、この動きは初体験。でも完成度はともかく、意外と出来るものですね(笑)。

 曲と振付は3月と同じもので、とても助かりました。そうそう、振付に関してとても興味深いお話がありましたのでご紹介します。先生は、音楽だけを聴いて振付を考え、教えるときにカウントに当てはめるのだそうです。踊る側へのアドバイスとしては、どの音でどの振りが来るのかをしっかり覚えるまではカウントでやった方がいいとのこと。そうでないと、今日みたいなステップとかがめちゃくちゃになって合わなくなってしまう。落ち着いて冷静にカウントしてやりましょう、と。先生は必ずソロで振付を踊って見せてくれるのですが(毎度毎度、喝采の渦!!!)、“これ踊ったあとも、僕は冷静ですよ!”と仰っていました。さすがはプロフェッショナル。その技術の一端を至近距離で拝見でき、教えていただけるなんて素晴らしいこと!幸せです。

 しかし今日進んだ分の後半のステップが最後までクリアできませんで、レッスン後に先生に直接聞きに行きました…。先生ありがとうございました。Delicious再演、楽しみにしていますよ!!!!

 以下、自分のための振付メモ。

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posted by Elie | DANCE, BALLET, PLAY | comments(0) | trackbacks(0) |
太陽の塔 黄金の顔
 言わずと知れた、大阪万博の巨大なシンボル・タワー。その顔が東京にやって来ると言うので、行って来ました。昨年の「GQ」遠征ついでに(あとひと月で1年経つなんて信じられない!)、折角だからと万博公園に行って本物を見てきたためもあり、この顔は「GQ」の記憶に直結しています。だから余計に思い入れがあるのかもしれません。

 さて、こういう名前のついた展示の大目玉が常設スペースに文字通り顔を出すのは珍しいように思います。直径11mの「顔」は、入場すぐの日本橋から右手を見下ろすと全貌を見ることができました。たくさんの鉄製のパーツをパズルのように組み立てて形を作っており、展示されているのは万博当時のものだそうな。因みに顔面は内側に窪んでいるので、尖鋭に突出した嘴しか見えず、真横から見ると何だかよくわかりませんでした(笑)。しかしこれほど大きいものをこんなに近くから見ているのに、その可愛さが損なわれないのは凄いですね。

 実はいちばん気になっていて、実際に入ってみたい、当時の展示を見てみたいと思っているのは、「太陽の塔」内部の「生命の樹」。遠征のときだったか、こちらで開催されていた岡本太郎展か何かで壮大な中身があることを知り、とても興味が湧きました。早い話が理科の教科書に載っている系統樹を太郎さんのエネルギッシュな感性で作品化したものなのですが、本展にこの作品を映像で紹介したものがあって、塔の内部に至るまでの道々にも連続した物語が存在したことを初めて知りました。生命の粒が宇宙か水中を漂っていた頃の「カオスの道」から、そこに人間が参加して狩猟で生計を立てていた時代から、呪術的な空間から(太郎さんの「第四の顔」と大量の仮面などの道具がある。みんぱくに展示されていたものもあるか?)、様々なブースが繋がっていて、ここで一日どっぷり浸っていられそうな内容だったようです。と言うのも、黛敏郎さんがこの展示のために書き下ろした曲が終日流れていると言う話だから。この紹介ビデオでも使われていて、もうベジャールの振付しか浮かんできませんでした。生命が立ち上がってくるときの、低音が地面の近くにわだかまっているところは、「春の祭典」生贄のユニタードで、ぜひ周さんに…などと考えるところまでいきました(笑)。

 常設展示でも、寄贈品やそのときの話題で展示内容が入れ替わるので、行く度に様子が変わっていて新鮮です。江戸庶民の食卓の再現はなくなり、戦時中の様子を描いた体験者の絵が登場していたり、体感展示が増えていたのが印象的でした。体感展示というのは私が勝手にそう呼んでいるだけですが、要するに実際の重さを体験してみようというコーナーです。纏(15kg)、千両箱(13kg?)、肥桶(左右5kgずつ+桶と棹の重さ)がありました。纏は持ち上がりはするもののバランスを保てず、結局ぶら下げられている鎖に助けられている状態。これを吹流しが広がるように回したり垂直運動させたりなど、苛烈極まる筋肉運動でした。千両箱は、長距離の移動は難しいでしょうけれど、案外軽く持ち上がりました。まぁ持って移動せよと言われたら、ススワタリと一緒になって炉に燃料をくべようとする千尋のような格好になると思いますが(笑)。この中で重量級を誇るのは肥桶でしょうか。両肩に棹を渡してどっこいしょとやるのですが、左右同時に持ち上げるのが意外と難しかったです。

 ここに来るといつもわくわくするのが大好きなジオラマ。棟割長屋、銀座煉瓦街、鹿鳴館には入り浸ります。別嬪な傾城と美男子の溜息が出るほど美しいマネキンが展示されているのは助六の舞台?いつ見てもうっとりするけれど、今日初めて、美男子の横顔があれほどのものだと気づきました…ぜひ見に行ってください。

於:江戸東京博物館
posted by Elie | MUSEUM REPORT | comments(0) | trackbacks(0) |
CSB International presents「Delicious」
 待ちに待った、CSBオールスターズ大集結のダンスショー!コンセプトが予想していた以上にしっかりしていました。役柄にダンサーを当てているのではなく、まずダンサーありきで役柄が作られているようで、ご本人のバックグラウンドや一部改変しただけのようなキャラクター設定が、それだけで既に笑いを誘います。

 強烈な個性を無理に束ねた8種類のフルコース。心から楽しんだ、味わった、お腹いっぱいになった!!お代わり、お待ちしています!!!

mix very berry show vol.1 ( with Huge amount of whipped cream !!)
『 Delicious 』


ここは「クラブ・デリシャス」。創立者は戦前のパリで美の黄金時代を生きた伝説の芸術家、ドゥニ・金之助・クレマン。クレマン氏の生誕100周年を迎える今日、彼の遺志を継ぐ男たちによるスペシャルショーの幕が開く。(会場配布Menuより)

@クレイドルホール(青山ベルコモンズ9F)
5/4〜6いずれもマチネ公演(計3回)を観劇。

CAST

セザール・宮城:新上裕也
T.M:TETSUHARU
シュー・クレマン:中島 周
ピーター・チャン:蔡 暁強
ロジャー・シンゴ・ヨシモト:吉本真悟
ベニー・ユキーデ:大野幸人
バン・パオ:風間無限
トム・コリンズ:宮垣祐也

posted by Elie | CSB International | comments(2) | trackbacks(0) |