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舞台・映画などの鑑賞記、感動をそのままに。
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「ヤング@ハート」
 歌に励まされたとか、歌が生きる力をくれたとか、或いは歌詞に共感したとか、そういうのは迷信か戯言くらいに考えていました。それが最近になって、とてもよく解るのです。ミュージカルの影響が大きいと思うのですが、これという具体的な表現はできないものの何かしらの強い‘思い’が流れ込んできて、気が付いたら涙が込み上げてきたり、自分の気持ちとぴったり重なったり。人生経験ってこういうときに反映されますね(笑)。
 特に感動したのは、本番でフレッドが『Fix You』を歌う場面。彼の瞳は客席を越えてはっきりとボブを見つめ、彼に語りかけるように優しく深く歌い上げるのです。俳優がどれだけ役柄に肉迫しても表現し得ない、本物の‘思い’に心を打たれました。

 老いに付き纏うイメージは後ろ向きなものが殆どです。歌い手であれば高音が苦しくなり、踊り手であれば肉体的な限界が訪れる。私のように凡庸な人も、齢80ともなれば日常生活の中においてさえ、若き日の関節の滑らかさを羨む事になるでしょう。ところがこの作品を観ていると、老いが何か楽しいイベントのように感じられるのです。“年齢を重ねれば重ねるほど、奥行きのある表現ができるようになる”というのは、私の先生の言葉ですが、その言葉を裏付ける存在が24人も、スクリーンに映し出されていたのです。巧い下手に関わらず、この難関を突破しようという躍進力は見習うべきで、どんなに厳しい言葉をぶつけられようとも心からの朗らかな笑顔が曇る事は無い。歌それ自体も勿論ですが、幾重も重ねた年輪の厚みが歌い込められた歌声、どちらかと言えば人生の終幕が近い彼らの姿がとても輝いていて、チャーミングで、こちらも自然と笑顔になります。自分も彼らと同じに生きていると思うだけで、何とも幸福です。

 言葉の端々に溢れるユーモアが良いですね。数箇所で、ミュージック・クリップのように挿入される映像も好きです。
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(0) |
劇団四季 ソング&ダンス 35ステップス
主な収録キャスト(収録順・敬称略)

保坂知寿
志村幸美
芥川英司
鈴木京子
市村正親
飯野おさみ
荒川 務
山口祐一郎
野村玲子
沢木 順
五十嵐まゆみ

 すっかりお馴染み(笑)、親切な友人T嬢にお借りしたCDです。T嬢、いつもありがとうございます。実のところ、3年ほど前から購入を検討してはいたのですが、欲しい曲目が少ないと言うことで見合わせておりました。

 曲によっては意外な部分を切り出して歌っていたり、メドレー部分はダンスで彩られたのかしら、とか想像してみたり…。名曲を間断なく繋いでいく全体の構成としては、何となくディズニーリゾートのショーやパレードに似通ったものを感じさせました。

 これの貴重なところは、今や天上で新たなるジェリクル・ライフを送っていらっしゃるに相違ない志村さんの美声が数多く収録されている点だと思います。彼女の歌う『メモリー』は「キャッツ」ロングランキャスト盤にフルで収録されていますが、私はこちらの方が素敵だと感じました。アレンジの関係なのか、「キャッツ」関連本を読んで、私が頑なに抱いていたグリザに対する理想(綺麗過ぎず、少しくたびれた感じが欲しいとか)が変わったのか解らないけれど、夜空をしっとりと曇らせる露を思わせる美しい『メモリー』でした。

 以下、お目当ての役者ごとに徒然と。

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posted by Elie | MUSICAL REC | comments(6) | trackbacks(0) |
「チェンジリング」
 母親と言うのは、凄い生き物だと思います。子供のためなら自分の全てを差し出せる、その覚悟と、毅然とした態度。感情的だとか常軌を逸しているとか評されがちです(本編でもそういう扱いを受ける場面が多々ありました)が、それこそが母たる者の本能・直感、寧ろ備わった必要不可欠な能力なのだと思うのです。肉体的変化・記憶違い等々、理屈で捩じ伏せられるような脆いものであるはずがありません。優しいクリスティンが発揮した行動力、彼女が法律に投げかけた大きな波紋、最後に掴んだ希望(それが確信であったか、もっと朧な祈りのようなものであったかは解らないけれど、後者であるならとても切ない)、どれもこれもに母親の底力を見、改めてその存在の偉大さに感動しました。私は母親ではないけれど、ウォルターが姿を消した時のクリスティンの狼狽ぶりを見ると、幼い頃に門限を破ったために凄い剣幕で私を叱った“母親”の気持ちが解らないでもありません。

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posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(37) |
4th Anniversary of ‘首都クロム’
早いもので、本日‘首都クロム’は4歳になりました。

これからも心を揺さぶられる作品に出逢うことを生き甲斐に、そしてここを訪れて下さる皆様と感想を分かち合うことを楽しみに、‘首都クロム’は呼吸を続けて行きます。

どうぞ宜しくお願いいたします。
posted by Elie | OTHER MEMO | comments(12) | trackbacks(0) |
IL MUSICALE(録画)
 公演日が両日とも平日だったために行くこと叶わず、項垂れておりましたが、このたび瀬木あおい様のご好意で観ることが出来ました。あおい様、有り難う御座いました!これについてメールを下さった方、全然返信ができずに申し訳ありませんでした。この場を借りて御礼申し上げます。
 さて、イル・ミュージカーレですが、素敵なお店ですね♪ガラコンと違い、独自のシナリオをもってミュージカル曲を紹介する手法が斬新で面白かったです。またの開店をお待ちしております。

 オチまできちんと見せてくれる演出が好感触。3号はアナタでしたか!と膝を打ちました。ひとり増えていると言うのもどこかミステリアスであり、若干背筋が凍る感じもしますね。あの少女の人生はどうなってしまったのでしょうか…?

 四季作品や『One Day More』のコーラスに厚みが無く寂しく感じたのは、俳優の数の関係であると信じることにします。

 以下、キャスト一部抜粋で徒然と。

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posted by Elie | MUSICAL REC | comments(2) | trackbacks(0) |
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
 逆回転をする時計と呼応するかのような、ベンジャミンの人生。とてもファンタジックな発想だけれど、内容はとてもリアルに感じられました。何故なら彼は人生を逆走しているだけで、彼の経験は私たちの身にも起こり得ることなのだから。長大な物語の掴みを語る逆時計。倉庫に眠るそれが、カトリーナのもたらした大水に飲まれようとするその時まで動いているのが象徴的でした。赤ん坊以前まで遡ったなら、ベンジャミンはまたどこかで生まれるのかもしれません。人はそれを、前世の姿と言うのです。

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posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(17) |
東京バレエ団 ベジャール・ガラ
 久し振りのゆうぽうと。舞台が低いので、前方席でも足元まで見えるところが良いですね。
 今日のコール・ドは歯切れ良く揃っていたので、とても迫力がありました。

@ゆうぽうとホール 1階2列30番台


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posted by Elie | DANCE, BALLET, PLAY | comments(0) | trackbacks(0) |
「夢から醒めた夢」を読んだ
 劇団四季がレパートリーとしている同名ミュージカルの原作本です。私が国内作家の著作を読むとすれば専ら古典に偏っているのですが、珍しく現在作家の作品を手に取りました。

 舞台版の粗筋を読んでからでしたので、書店で見つけたときにその薄さに驚き、読後感も予想していたよりとてもあっさりと感じられました。やはり舞台はドラマティックに創られているのだという印象です。それでも、ピコタンが相手の心情を推し量って手を触れるのを躊躇する場面に流れた(であろう)一瞬の静寂は伝わってきました。ピコタンの無垢な心や、(舞台ではマコという名前の人物に当たる)少女に寄せる素直で嫌味ひとつない同情とか、子供だからこそ持ち合わせている理屈とは別物の本能のような率直な感情に心洗われる思いで読みましたが、これが目の前の舞台で、衣擦れや息遣いや、照明が落とす影を見ながら物語の中に入って行ったなら、本書よりももっと多くの者と出会うことで生まれてゆく(と勝手に想定している)、ピコタンの中でせめぎ合う色々な思いがこちらに直に流れ込んで涙が込み上げてしまうかも知れません。

 童話のような親しみやすい語り口で、ものの十数分で読み終えてしまいました。
posted by Elie | BOOKS | comments(3) | trackbacks(0) |
劇団四季 キャッツ(鑑賞5回目)


 五臓六腑に染み入り響く素晴らしい音楽。心が躍るとはまさにこのことかと言う体験が、猫屋敷では待っています。鑑賞5回目にして遂に、全ての猫の名前・容姿を区別するに至りました(雌猫に関しては、まだ少し怪しいところがありますが)。もともと目が幾つあっても足りない作品だとは感じていましたが、区別が付くというだけでどこを見ても‘あの子があんな陰でこんな可愛らしい仕草を!’というのを見つけてしまい、ライトが当たっている舞台前面を寧ろ蔑(ないがし)ろにして毛繕いや昼寝に興じる猫たちの何気ない仕草に双眼鏡ロックオン。顔中どころか、サイアミーズの甲冑の如く体中目にして、一瞬たりとも見逃したくない。そんな風に強く思うのであります。
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posted by Elie | MUSICAL | comments(0) | trackbacks(0) |