フェルメール展 -光の天才画家とデルフトの巨匠たち-
2008.11.22 Saturday
作品保護のため、フェルメールの作品でひとつ出展中止になったものがあったとかで、「絵画芸術」の代わりに「手紙を書く婦人と召使い」が出展されていました。窓から差し込む光が婦人の衣服の質感を浮かび上がらせ、ペンを持つ手は今にも動き出しそうな感じがあります。フェルメールの作品には、描かれた瞬間の前後の流れ、特にその前から続く動きを想像させる空気感がありますね。画家や鑑賞者が目を向ける前からそこにあって、或いは居て、それは絵画のために作られた場面ではない。画家の視線は日常の流れの中、ほんの刹那的で時と共にさらりと流れ去ってしまうかに見える瞬間に敢えて向けられたように感じられます。自然光が浮かび上がらせる衣服の皺や、瞳に宿る光、煉瓦の壁や滑らかに塗られた白い教会の柱にも、生活感がある気がするのです。ドラマと言うのかな。そういうふとした瞬間の切り取り方では、「リュートを調弦する女」が表情・コントラストともに気に入りました。
ミュージアム・ショップの隣には、作品の実物大レプリカを並べた一角がありました。意外と小さい作品が多いのですよね。「ヴァージナルの前に座る若い女」は本物が展示されていますが、「レースを編む女」や有名な「牛乳を注ぐ女」と共に意外なほど小ぶりなカンバスに描かれているのです。それだけ鑑賞者の目を惹きつける存在感とドラマ性を湛えているのでしょうね。「レースを編む女」に関しては、女性の手元に焦点が合っていて自然とそこに眼が行くようになっているようですから、凄いなぁと感心することしきりです。
フェルメールの手ではないものの中にデルフト新教会を描いた作品が幾つかありましたが、同じ場所を同じ視点で描いたにも関わらずそれぞれに異なった見せ方をしているのが印象的でした。奥行きや高さなど、強調したい部分を好きに強調でき、見せたい部分を見せるために柱をずらす。それが新たな妙味を生む。絵画だからこその表現なのかなと思います。
今回の音声ガイドは面白かったです。タッチペン方式で、専用のガイドシートに印刷されたサムネイルをペン先で触れると解説が始まると言うもの。いつものように番号を打ち込んで再生ボタンを押すという手間もなく、機器本体も小ぶりで首に下げていても重くないところが良かったです。どういう仕掛けで解説の音声を呼び出しているのか不思議ですね。
於:東京都美術館
ミュージアム・ショップの隣には、作品の実物大レプリカを並べた一角がありました。意外と小さい作品が多いのですよね。「ヴァージナルの前に座る若い女」は本物が展示されていますが、「レースを編む女」や有名な「牛乳を注ぐ女」と共に意外なほど小ぶりなカンバスに描かれているのです。それだけ鑑賞者の目を惹きつける存在感とドラマ性を湛えているのでしょうね。「レースを編む女」に関しては、女性の手元に焦点が合っていて自然とそこに眼が行くようになっているようですから、凄いなぁと感心することしきりです。
フェルメールの手ではないものの中にデルフト新教会を描いた作品が幾つかありましたが、同じ場所を同じ視点で描いたにも関わらずそれぞれに異なった見せ方をしているのが印象的でした。奥行きや高さなど、強調したい部分を好きに強調でき、見せたい部分を見せるために柱をずらす。それが新たな妙味を生む。絵画だからこその表現なのかなと思います。
今回の音声ガイドは面白かったです。タッチペン方式で、専用のガイドシートに印刷されたサムネイルをペン先で触れると解説が始まると言うもの。いつものように番号を打ち込んで再生ボタンを押すという手間もなく、機器本体も小ぶりで首に下げていても重くないところが良かったです。どういう仕掛けで解説の音声を呼び出しているのか不思議ですね。
於:東京都美術館