個人的な印象として、オペラと聞くと、とにかく敷居が高いイメージが先行します。チケット代もそうですが、高尚なお話で歌詞も聞き取り辛そうですし、最近特にミュージカルを愛する私としては、何となく楽観的に見ることが出来ない気がしてしまっていました。
でもこれ!特に気をつけて話を追わなくてもスッと入ることが出来ましたし、喜劇であったことがとても良かったです。侍女がタミーノを巡って“私よ私よ私が連れて帰るのよ〜”とアピールする場面にいきなり笑いました。それに空を飛んでいるようなカメラワークも素晴らしい。物語の展開は思いの外スピーディで、滑らかに場面が繋がっていくので、飽きると言うことがありませんでした。本物のお歌、衣装の色彩や建物の造形など、何処を切り取っても楽しくて、綺麗で、引き込まれます。特にパパゲーノの妄想に登場する鳥たち(美女!)の衣装が可愛い。華やかで、とても印象に残っています。
大好きな人物はパパゲーノとパパゲーナ。以前、オペラの映像を、彼らの部分だけでしたが見たことがあったので、楽しみにしていました。別にフィナーレの2重唱に限らず、パパゲーノが居る場面はそれだけで楽しくなってしまうのですけれど。何より、頭に鳥が乗っているヘルメットからして先ず面白いですもの。
勿論、彼以外の人物もそれぞれに見所がありました。主人公のカップルは、レミゼのマリウスとコゼットのような初々しさと盲目さ(笑)に加え、ドン・キのエスパーダとメルセデスのような大人っぽさ(色香は感じませんでしたが)も少し、要素としてありそう。年齢のためかな。パミーナが、ザラストロと夜の女王の娘であると仄めかされているので、ザラストロが関わってくるスジにも説得力がありました。彼が、城壁から落ちていく女王を見つめる表情が、物語に人間味と、見る側が知ること以上の深い事情を物語っているようで、良かったです。
夜の女王は…ヒステリックで恐ろしかったです。登場シーンのアリアは口から戦車が出てくるように見えたし、パミーナにザラストロ殺しを強要する時の、目を見開き超高音で歌う歌の物凄い迫力に、気圧されてしまうほどでした。
モーツァルトの楽曲は旋律が豊かなのが良いですね。サントラ、これは本当に迷います。。パパゲーノの声がとても好きなので、是非とも手元に置いておきたいのですが…さて、旋律とは見事に対照的な我が財布の中身であります…。