BOOK SHELF
舞台・映画などの鑑賞記、感動をそのままに。
好きなものは好き!

映画の感想はアプリを使い始めました。カテゴリーからMOVIEを選んで、表示される最新記事内のリンクから行けます。

ご連絡はコメントかメール(カテゴリーから選択)でお願いいたします。
since 2005.Feb
「バベル」
 先ず、独り善がりに喚き散らすのをやめると良い。自分の要求だけを通そうとする欲求を鎮めないといけない。そういう怒号は耳障りなだけで、何も有意義なことはないのですから。そんな風に思います。苛立ちは、憎しみ同様に連鎖を繰り返すようです。繰り返す毎に、嵩も増して行きます。それは恐らく、まだ言語が一つだけだった遙かな時代に、着々と高さを増していったバベルの塔の如く。

 スーザンが運び込まれた家のお婆さんが良かった。言葉が通じない中で、彼女だけが喚き散らしたり取り乱したりすることなく、重傷を負ったスーザンを優しく看病する。それこそ、カオスにもたらされる一筋の光明なのではないかと感じます。

 一番涙腺が緩んだのは、マイクが不安と涙で顔を歪めながらアメリアに“僕も行く”と訴える所。彼の心細さが痛いほど解って、辛かった。アメリアが彼らの下を離れた後、もしかしたらマイクはぐったりしたデビーを守ろうと必死だったかも知れない。そんな風に思いを馳せると、胸がキューッと締め付けられます。

 アカデミー賞ノミネートで話題になった凛子さんの演技も素晴らしかったです。チエコの抱く孤独がスクリーンを突き破らんばかりの鋭利さをもって、こちらに迫ってきました。役所さんもとても印象的で、彼自身の提案による台詞“気をつけて”の雰囲気も良かった。これがもし脚本通りに“愛してるよ”だったら、リアリティに欠けたと思います。

 「21グラム」の時も時間軸をばらし、最後に全てが繋がるという手法で物語を描き出した監督の色がこの作品にもあって、リチャードが病院から自宅に電話をかけるシーンで時間の正しい流れを把握しました。物語の舞台があちこちへ飛ぶので忙しいですが、最後の最後に落ち着くべき軸に落ち着くと言う監督の手法が、意外と嫌いではありません。ただ頂けなかったのは、クラブの照明が激しく明滅する場面。眩しいし、目まぐるしく動くので、正視するのが辛かったです。具合の悪くなった方が出たと言うのも無理はないかなと。

 …うーむ、うまく書けないなぁ。
posted by Elie | MOVIE | comments(0) | trackbacks(24) |
マリー・アントワネット 凱旋公演
主なキャスト(敬称略)

マリー・アントワネット:涼風真世
マルグリット・アルノー:新妻聖子
アニエス・デュシャン:土居裕子
アクセル・フェルセン:今 拓哉
ルイ16世:石川 禅
ボーマルシェ:山路和弘
オルレアン公:鈴木綜馬
カリオストロ:山口祐一郎
ロベスピエール:福井貴一
ローズ・ベルタン:春風ひとみ
ラパン夫人:北村岳子
ランバル公爵夫人:河合篤子
べメール/エベール:広田勇ニ
ラ・フェルテ:tekkan
ギヨタン博士:佐山陽規
ロアン大司教/レオナール:林アキラ

ルイ・ジョゼフ:桝井賢斗
ルイ・シャルル:大久保祥太郎
マリー・テレーズ:黒沢ともよ

指揮:塩田明弘

@帝国劇場 1階S列40番台

 場面同士の繋がりが太くなって、キャストも変わって、歌詞も変わって…。初演段階の作品も好きでしたが、凱旋公演を見てしまった今となっては、これしか考えられないくらい此方の方が気に入りました。人物がそれぞれ奥行きを持って濃くなっていたと感じましたし、感情の起伏が複雑になって、よりリアリティが増したと思いました。凱旋CDを残さないなんて考えられないくらいの完成度ではないかと思うのですが、如何でしょうか。【東宝さま、凱旋盤CD製作についてご検討のほど宜しくお願いします!】全編を通して面白いことは確かですが、瞬間々々を切り取って来ても見応えがありそう。S席後方に空席が多かったためか、拍手が少なかったのが少し寂しかったです。

 ところで、日頃の行いが良いのか(笑)、幻の黄金もといプログラムが舞台写真版になっていたり、トロムネ(無論、「これさえあればあなたも幸せ!」カリオストロ・ラムネのことで御座います)が発売されていたり、ロビーにタペストリーや色紙がお目見えしていたりと、タイミングの宜しいことこの上なし!気分が高揚してくるのも仕方のないことです。関連文献など読みますと、このトロムネ、カリオストロのお小遣い稼ぎのように思えてなりませんで、クスッと笑ってしまうのです。こういう冗談、好きだわ。

 以下、大体キャスト表記順に感じたままを徒然と。(凡例:初演 or 以前=2006年12月23日、1階V列一桁番台)
 4400余字続きます。。

続きを読む >>
posted by Elie | MUSICAL | comments(2) | - |
ジキル&ハイド
主なキャスト(敬称略)

ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド:鹿賀丈史
ルーシー・ハリス:マルシア
エマ・カルー:鈴木蘭々
ガブリエル・ジョン・アターソン:戸井勝海
ダンヴァース・カルー卿:浜畑賢吉

指揮:西野 淳

@日生劇場 2階C列下手
(2008年2月4日 劇場追加)

 凄いものに!またも凄いものに出会ってしまった…!
 実は観劇当日は発熱していたのですが、鹿賀さんのお陰で具合が良くなりました。ほぼ満席の客席からは惜しみない拍手が途切れる事無く贈られ、カテコは4回か5回続きました。全てが終わった舞台の奥から、西野さんが両手を振り振り客席にご挨拶、オーケストラのうち数人の方も楽器を高く掲げて拍手に応えてくれました。上演中も、私の居た席からは西野さんがいらっしゃる上手のオケピがよく見え、彼が映っているモニターさえも見えました。カテコの演奏までパワーダウンすることのない力強い指揮にも目を奪われてしまう、そんな迫力に満ちた音楽がとても印象的で、TDVやスウィーニー以来の西野さんのお目見えに気分は舞い上がったままなのです。

 まず、舞台の迫力はCDの比ではありません。低音が深く響きますし、コーラスも立体的で奥行きがあってゾクゾクしました。やはり舞台は生!生のものは生のままで美味しく戴く!これに限りますね。呼吸や衣擦れや足音の生々しさが本当に好きで、それをMAに続いて実感しました。

続きを読む >>
posted by Elie | MUSICAL | comments(2) | trackbacks(0) |
「DEATH NOTE -デスノート-」
 友人宅にて鑑賞会。前編と後編を続けて観ました。漫画は始めの5,6冊くらいを読んでいたし、鹿賀さんもご出演だし、と言うことで公開当初から気になっていた作品でしたが、そこまで入れ込んではいなかったのです。原作があるものって、何となく不完全燃焼気味のプロットを想定して身構えてしまう所があるので、その面からの偏見も多少あったかもしれません。

 ところがどっこい、これがとてもスマートにまとまった作品だったのです!オリジナルキャラクターも違和感なく納まっていたし、お話の繋がりもスムーズで観ていてアレッ?ということがありません。特に後編は時間が短く感じられるほど面白かったです。引き込まれました。

続きを読む >>
posted by Elie | MOVIE | comments(2) | trackbacks(5) |
決して希望は捨てない…!2
 MA凱旋公演の初日レポを諸所で拝読しましたが、意外や意外、その話題はカリオストロの新曲よりもnew castに集まっているようですね。今さんのフェルセンは大人っぽく落ち着いた雰囲気で色気があるとか、綜馬さんのオルレアン公はインパクト絶大でぶっ飛んでいるとか…。トロ様の新曲も格好良いとか長めであるとか、期待要素は盛り沢山です。若干の変更点も加えて、印象も思いの外変わったよう。…これは、もしかしなくても凱旋盤CDが発売されますよね?なーんて、まだ見てもいないのに。

 ところで、今公演に私が行くのは昭和の日。昭和天皇をキャラクターに取り入れたというルイから、大サービスネタは出ないだろうか、とこちらにも密かに期待しているのです…
posted by Elie | MUSICAL | comments(2) | - |
本バトン、ですって。
 mahitoさまの日記「年中夢中」から戴いて参りました。

続きを読む >>
posted by Elie | BOOKS | comments(3) | trackbacks(1) |
音楽朗読劇「モリー先生との火曜日」
キャスト(敬称略)

モリー・シュワルツ教授:浜畑賢吉
ミッチ・アルボム(生徒):今 拓哉
ジャニーン・アルボム(ミッチの妻):土居裕子

ピアノ演奏:小原 孝

 先ず、土居さんの透き通った美声に癒されます。“ミッチ”との呼びかけは包容力を感じさせ、且つとても温かく優しい。ミッチと出会った時の真っ直ぐ彼を見つめ返しているような物言いも、モリー先生と談笑している朗らかな様子も、限りなく魅力的で、私がジャニーンに惚れそうです(笑)。ミッチが先生の前で涙した日の授業の背景で流れるAve Mariaは、まさに天使の歌声。教会の天窓から金色の陽光が射し、抱き合う二人を包み込む聖なるベールのようでした。

 今さんの爽やかなミッチも同じく魅力的。ジャニーンに向けられる言葉の全てに深い愛情を感じるし、モリー先生とのやり取りの中にも懐古ばかりでなくて、何か太い絆のようなものを感じます。タイムマシンがなかったからこそ、先生と過ごした短い時間はより尊い宝物になったのではないかと思います。彼にすっかり感情移入して……「アルジャーノンに花束を」に続いて心を大きく揺さぶられる作品でした。今さん、舞台ではジャベールしか聞いたことがないので、その印象とのギャップに驚いているのが正直な所ですが、ミッチの持つ軽快で歯切れの良い演技も素敵。春のMAでどんなフェルセン伯を見せて下さるのか、物凄く楽しみですし、期待が高まります。

 穏やかなピアノ演奏がとても素敵です。浜に打ち寄せる穏やかな波に足を洗われる心地良さがありました。Over the rainbowとYou Rase Me Upが聞けたことも嬉しかった。ゆったりとした気持ちで聞くことが出来ました。欲を言うなら、今さんのソロがもっと欲しかったなぁ。。

 ALSの方を実際に拝見したことがあるためか、モリー先生の佇まいをリアルに思い描けている気がして切ない気持ちになりました。
 浜畑さん演じるモリーの言葉には、重厚な説得力を感じました。教え諭していると言うよりも経験則を語っている感じが強く、それがまた良いのです。自分の胸にミッチの手を置かせる場面では、痩せてしまった手の皺や温もりや握る力を思い、…もう駄目…。死を前にした先生からは、人間と言うより大自然の深さを感じます。

 悔いのない人生とか、本当に価値のある生き方とか、果ては生きると言うことは何なのか、そういうことについて何となく思いを馳せてしまいますね。また明日から、頑張ろう。そこはかとなくそういう気持ちが沸き起こる作品でした。
posted by Elie | MUSICAL REC | comments(5) | trackbacks(0) |