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「MW -ムウ-」
 初日。ご自身が手狎ぢ紊諒から、親が手狎ぢ紊任△蹐高校生まで、幅広い年齢層で座席が埋まっていました。終了時間が20時を少し回る遅めの回でありながら、前方の数列を除き端席までほぼ満席。手犧酩覆了つ人を惹きつけてやまない普遍的な魅力を、この客席の様子から改めて感じたのです。とても迫力があり、映像美を堪能できる場面もあり、面白かったです。何だか結城の罠にはまった予感、暫くはムウ漬けかもしれません。

 数ある手犧酩覆涼罎任癲閥愧如匹世箸“問題作”だとかのレッテルを貼られ、映画自体もPG-12に分類された、暴力描写あり・残酷表現ありの物語です。しかし、トラックの荷台に激突して崩れたり・仕掛け猿轡を外したために破けたり裂けたり・至近距離からの発砲で肉体の一部が吹き飛んだりする…正視し難い人体の破損を伴う瞬間を、フレームアウトさせたりして映像的に巧くぼかして、少年少女への心ばかりの配慮を感じました(笑)。橘が死ぬ場面は、逆にそういう演出の方が恐ろしかったですけれど。。

 パンフレットにもありましたが、さっきまで全力で生きていたものが、突然動かなくなる、ただの肉塊になる瞬間が、殺す側・殺される側の両方から、丁寧に描かれていたのが印象的でした。京子の死体を前に、MWガスの後遺症から来る発作と、16年前の忌まわしい記憶のフラッシュバックに見舞われる結城の状態を、時間を惜しまずに見せてくれたのも良かったです。結城が単なる不埒な悪徳の塊でなく、人生を狂わされ地獄のような精神状態を抱えたまま生きる、賀来とは違ったところで苦悩するひとりの若者(元は人間だった悪魔)であることを感じさせる場面のひとつでした。

 原作漫画に見られるような直接的な性描写はないものの、玉木・山田両氏の目のお芝居が濃密なので、2人の視線が交わる瞬間はラブシーンを見ているような錯覚に陥ることもしばしば。結城が賀来に介抱される場面で顕著なのは言うまでもありませんが(物悲しく、美しい。玉木さんの手も美しい/笑)、橘が犠牲になる場面、クライマックスの機内戦でも、いたるところに横溢する愛の物語。沖之真船島の貯水池でカッターを投げてよこす場面も、2人の間だけに通うものを漂わせていたし(ここで、結城が如何に変わってしまったか、自分では彼を止め得ないということを、京子に打ち明ける賀来の瞳の表情がとても良い。)、彼らの間に割って入れるのは皮肉なことにムウだけなのだと感じました。

 発表年代が古いにも関わらず、現代に通じるというか、現代だからこそ身の竦むような恐ろしさがある作品でした。善とは何か?悪とは何か?とても普遍的です。いくらまともな良心を持ち合わせていても、人であるというだけで、甘い言葉に翻弄されたり、権力に屈したり、悪ノリしたが最後、悪循環から抜け出せなくなったり、状況によって善悪の線引きは変わってしまう。また、必要悪という言葉があるように、意外と捉え方の難しい概念なのかも知れません。手犧酩福∨榲に奥深くて、大好きです。

 犯人は死んでしまったと確信的な映像を見せておいて、でも実は?!という後日譚を思わせる結末。これがとても気に入りました。“俺はやめない”の言葉通り、結城は命尽きるまで走り続けるのでしょう。賀来がいなくて、どこまで正気を保っていられるのか(傍から見たら既に正気ではないですが)、心配ではありますけれどね。

 oaゾとか東京の真っ白な駅地下とか、知っているところがスクリーンに映ると嬉しくなってしまいます。
 ところで、最後の‘民自党’には思わず噴き出してしまいました。首相が見たら苦笑するに違いない(笑)。悪徳政治家はのさばり続けるのです。いつの世も…。

 山田くんは、お芝居が広がりましたね。初めて彼を見た「ちゅらさん」の時と比べると、桁違いです。どうあがいても払拭しきれない過去と、犯罪の片棒を担いでいることへの罪悪感と…何か底知れぬ重たいものをしまいこんで、苦悩の日々を送る神父の人物像が、闇に取り巻かれて慄くばかりの一人立ち間もない天使のように、くっきりとそこに見て取れました。

 玉木さんは、「ウォーターボーイズ」映画版のアフロ頭のアイツ(笑)と、最近では「篤姫」の竜馬ですね。猫科の獣を思わせる、怜悧な目が恐ろしくはまっていました。発作で倒れたときは、周囲を行き交う人が誰も助けてくれず可哀想でしたが、大丈夫ですか?と声をかけて貰っても“触るな…!”と牙を剥きそうです。彼に触って良いのはこの世界で賀来ただひとりだけ。賀来が飛行機からムウごと飛び降りたときに見せた、怒りとも哀しみともつかない、衝撃を受け絶句したあの表情は凄かった…。

 美香役のリオちゃんは、帝国劇城でお風呂三昧している(笑)ちひろちゃんの妹さん。目と唇がお姉さんとそっくり。とても可愛らしく、透き通るような純真な存在が救いでした。

原作未読での鑑賞。幾つかレポを読ませていただきましたが、原作における結城の非情さ・周到さ・善の欠落ぶりは凄まじいらしいですね。いまださらっとしか読めていないので(鑑賞後に買いました)、早くじっくり読みたいです。
posted by Elie | MOVIE | comments(6) | trackbacks(13) |
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コメント
私世代の観客が多い気はしますね〜。

ポスターで久々に山田孝之を観て
「オヤジになったなぁ」と(笑)
2009/07/05 14:31 by 瀬木あおい
瀬木あおい様

私が観た回は、20〜30代を中心に、けっこうばらつきがあったように思います。時間帯によるのかもしれませんね。
山田氏は大きくなりましたよね(俳優としても)。←も?
とても繊細なお芝居をされていました。
2009/07/06 21:17 by Elie@管理人
私も観てきました。

レディースデーの夜に行ったのですが、60代と思われるご夫婦が同じ列に座ってました。こういうタイプの映画でこの時間帯では見かけたことがなかったので、やはり手塚作品だからかな、と思いました。

これが30年以上前に発表された作品とは思えませんね。まるで現代を切り取ったかのような違和感のなさに、改めて手塚治虫氏のすごさを感じました。

そして、この作品で初めて玉木宏さんがカッコイイと思いました。
もともと声はいいなぁと思っていましたけど、役とあの声がぴったりあっていたのもカッコイイと思った原因のひとつかもしれません。

美香ちゃん役の人はちひろちゃんの妹さんだったんですね!
全然、わかりませんでした。

原作は私も未読でしたけれど、映画は映画と切り離せないタイプなので、映画のよさをそのままにするために、原作はこの先も読まないと思います。



2009/07/18 21:14 by 菊音
菊音さま

受け入れる年代の幅広さが物凄いですよね。「手塚治虫展」に行ったときも、年配の方から小学生まで、みんなが同じように楽しそうにしていたのが印象的でした。
アトムにしても、このムウにしても、先見の明に長けるとはまさに手塚氏のような方の事を指すのだと思いました。

玉木さん、素敵でしたよね(*^-^*)
はまり役だと思います。原作通りの色きちがい(ゲホゲホ)でなくてよかった(笑)。
映画公開に先駆けて放送され、一部のブロガーさんの間ではかなり不評のドラマ版も、玉木さん見たさに録画したのを消さずにおいています(これから観るのですが)。

リオちゃん、動画サイトで舞台挨拶などの動画を見たら、ちょっと天然さんぽいホンワカした娘さんでした。ちひろちゃんとはまたタイプが違うみたいですね。
2009/07/18 22:59 by Elie@管理人
そうなんですか!
私はドラマを観て、「映画も観ようかな」と思ったのですが…(^^ゞ

あれはあれで、なかなかおもしろいと思いました。
ご覧になったら、感想などお聞かせいただけると嬉しいです(^^)
2009/07/19 20:05 by 菊音
菊音さま

おおお!そういう方がいらっしゃると、自分のことではないのに安心してしまいます(笑)。
玉木さんご自身も、結城の人と成りがより解りやすく見える作品になっていて面白い、と言ったようなことを仰っているので、個人的には録画を見るのが楽しみなのです。

見終ったら感想をアップしますね〜^^
2009/07/19 22:43 by Elie@管理人
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2009/07/07 21:15
最初に劇場予告編を目にしたときに、そういえば手塚治虫作品に『MW』というのがあったよね、というくらいの知識しかなくて内容については全く知りませんでした。そして公開日が近づくにつれて映画の概要や原作についての豆知識をちらほら耳にするわけなんですが、たしか
カノンな日々
2009/07/07 21:36
手塚治虫の原作は読んだ事が無かったので、満喫でチェックしてから『MW』を観てきました。 ★★★ しまったなぁ、原作本読むんじゃなかった。 知らずに観た方が先入観無くて楽しめたのかもしれない。 原作の面白いところは、当時の漫画にしては過激過ぎる悪役主人公の
そーれりぽーと
2009/07/07 23:04
「MW−ムウ−」は、手塚治虫が大人向け作品に傾倒していた1976年に発表した、ピカレスク漫画の映画化である。 膨大な著作を残した手塚だが、実...
ノラネコの呑んで観るシネマ
2009/07/07 23:26
1970年代に連載されていた手塚治虫の漫画を生誕80周年を記念して実写化した作品。主演は『真夏のオリオン』が公開中の玉木宏と『鴨川ホルモー』の山田孝之。共演に石橋凌、石田ゆり子、品川徹、半海一晃、鶴見辰吾といったベテラン勢が顔を揃えています。監督は
LOVE Cinemas 調布
2009/07/08 03:32
今週の平日休みは、久しぶりに邦画だよーーー。 最近ずっとヨーロッパものが多かったけど。
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MW ムウ (2009)今回の映画は、「MW ムウ」です。本作「MW ムウ」は、少年時代の事件の復讐のため殺人鬼となった主人公と、彼を救おうと苦悩する神父の姿を描くサスペンス・アクションです。監督は、『明日があるさ THE MOVIE』の岩本仁志。16年前...
映画DVD・映画ブルーレイ「やわらか映画」
2009/07/08 22:26
レビューを更新しました。 当HP↓からどうぞ。 Review→映画レビュー、から見れます
20XX年問題
2009/07/11 12:55
手塚治虫原作の漫画を実写版映画化した作品です。
水曜日のシネマ日記
2009/07/22 02:21
手塚さんの原作が強烈なショックでした。 異様な設定と男色。どろどろで怖かったです。 その後、BLっていう言葉やクライムノベルが普及。 ...
粋な提案
2009/07/23 18:06
[MW‐ムウ‐] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ 評価:6.5/10点満点 2009年68本目(63作品)です。 16年前。米軍が極秘に開発していた毒ガス兵器「MW」が開発場所の島で漏れ、それを世間に知られないようにと政府が島民を虐殺。 その島
必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!
2009/08/01 03:41
 手塚治虫原作のMW −ムウ−を観てきました。
よしなしごと
2009/08/04 17:18
□作品オフィシャルサイト 「MW −ムウ−」□監督 岩本仁志 □原作 手塚治虫 □脚本 大石哲也、木村春夫 □キャスト 玉木宏、山田孝之、石橋凌、林 泰文、石田ゆり子、鶴見辰吾、山本裕典、山下リオ、中村育二、半海一晃、品川 徹、風間トオル ■鑑賞日 7月
京の昼寝〜♪
2009/09/09 23:38
世界を変えるのは、破壊か、祈りか。 【関連記事】 「MW-ムウ- 第0章 〜悪魔のゲーム〜」 発売予定日は2009年11月6日
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