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「宮廷画家ゴヤは見た」
 色彩は暗く(どうやら蝋燭による照明を再現したためらしい)、恐怖に見開かれた目や乾いた皮膚はゴヤのカンバスに描かれた場面そのもののよう。ひとつひとつの場面が絵になっていて、目元に落ちる影とか、瞳が動いて相手を見つめる瞬間とか、ふとしたことが劇的に見えてくる、不思議な感覚がありました。その後ろから滲み出てくるゴヤの視線…見てご覧、聖職者だってそんな綺麗なもんじゃないのさ。と言ったような、見たままを冷徹なまでに忠実に描き出す極めて優れた観察眼と、表現力とを持っていたのかな、と思います。女王のポートレートお披露目のエピソードが、ユーモアたっぷりに描かれていて面白かったです。
 前述のようにユーモアに溢れたものから、ちょっとばかりシュールなものまで、面白い展開はいくつもありました。思わず唸ってしまったのは、ロレンソが裁く側から最終的には裁かれる側に回ってしまったことです。かつて同じ側に居た人たちがあれほどの哀れみをかけ、諭してくれたと言うのに。。これはビルバトゥア家の食卓でイネスと同じ苦痛を味わった場面と対を成しますね。あの時は拷問によって真実を捻じ曲げざるを得なかったが、今度は違う。十字架を拒否する態度には、何か悪足掻きにも似た意地のようなものも見え隠れしましたが、ロレンソは本当は信念の人だったのだなぁと感じたのです。

 ナタリーの二役(女児についても予想できたけれど)も良かった。良家の子女と、奔放で気高い美少女と、雰囲気から境遇からまるで違うけれど、彼女の瞳に湛えられた生命力のような、強くもあり儚くもあるそれはどこか共通しているように思いました。

 お話自体は激動の転換期を舞台にしていますので、荒々しく無情な戦の場面があったり、無益としか思えない殺戮があったりと落ち着かないのですけれど、銅版画の製作行程や向こうの手話がさりげなく紹介されていたのがとても興味深かったです。処刑広場の異様な昂りを余所に藁を食むロバを始め、画家が目を止めたかもしれない小さな動きも見せていて、ゴヤの視点に引き戻されるのです。
 絵になる、という観点からですともはや作品全体がそうですが、イネスが荷馬車に揺られるロレンソの亡骸と手を繋いで歩いていくラストシーンが特に印象的でした。画家が後ろから呼ぶと、幸せな家庭を得た若妻のような微笑をチラと見せるのが哀れを誘います。獄中のイネスの裸身に品があったのもまた印象的。最近画面に映る全身の肌色は必要以上にセクシャルなことが多い気がするので、抑えた描き方に安堵を覚えたのでした。笑
posted by Elie | MOVIE | comments(4) | trackbacks(14) |
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コメント
こんにちは☆
TB,2つ送っちゃいました。
申し訳ないですが、後の分、削除お願いします(__;)

この時代のお話は好きなんですが、どうしても避けられない部分も、
あまり視覚的なものでなく、精神的に迫ってくるものでした。
最後までナタリーの瞳の表情の変化に目が離せませんでした。
2008/10/12 14:16 by kira
kiraさま
こんにちは〜
TBですが、私の方で見るとダブり送信はなさそうですよー。もし2件目が反映されたらそちらを消しておきますね^^
そうそう、精神面に迫る描き方でしたよね。視覚効果を狙えばインパクトがあるだろう、どうだいどうだい!という作品が多い中、とても芸術的だなぁと思いました。
>ナタリーの瞳の表情の変化
 どんなにボロボロになっていても、彼女が画面に現れると不思議と精彩が増す気がしました。
2008/10/12 17:58 by Elie@管理人
こんにちは♪
TBありがとうございました!

ゴヤの絵画がふんだんに出てきて嬉しかったです。
そして、
>銅版画の製作行程
これなんですよ!
私もそれを見せてくれたシーンがとても良かったとおもいます。
ナタリーの演技も光りましたね〜。
2008/12/14 22:57 by ミチ
ミチさま
コメントありがとうございます!
銅版画製作のシーン、実はいちばん集中して見ていたのじゃないかというくらい(笑)、スクリーンにくぎづけでした。
ナタリーの女優魂には度肝を抜かれました〜。一つの作品でたくさんの表情を見ることが出来きましたよね。
2008/12/15 17:54 by Elie@管理人
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