エリザベート
2016.07.18 Monday
主なキャスト(敬称略)
エリザベート(オーストリア皇后):蘭乃はな
トート(黄泉の帝王):井上芳雄
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝):佐藤隆紀
ルイジ・ルキーニ(エリザベート暗殺者):成河
マックス(バイエルン公爵・エリザベートの父):大谷美智浩
ゾフィー(オーストリア皇太后・フランツ・ヨーゼフの母):涼風真世
ルドルフ(オーストリア皇太子):京本大我
ルドヴィカ(バイエルン公爵夫人・エリザベートの母)/マダム・ヴォルフ:未来優希
エルマー(ハンガリー貴族・革命家):角川裕明
少年ルドルフ:加藤憲史郎
@帝国劇場 1階J列下手サブセンター
演出とキャストを一新して昨夏上演されたものの、早くも再演。キャストの素晴らしさが世に知れ渡ったあとですし、作品自体も人気ですし、公演期間の短さも手伝って、非常にチケットが取りづらく、半ば諦めていたところへ親切なフォロワーさんに譲っていただくことができ、観に行くことができました!ありがとうございました!!主演のふたり以外は初めて見るキャストばかりで、しかも今回いちばん気になっていた成河さんのルキーニの回で、心が躍りました!!
その成河さん、後述しますが、すごいです。とにかくすごい。いままで見てきた(といっても数えるくらいしか見ていないけれど)エリザは何だったのかというくらい、最初のシーンの存在感からしてもう違っていて、そのおかげで全編通してちゃんと彼の供述が再現映像的に展開しているという感じがして、彼自身の存在感も然りながら、彼がいることによってその場面がどういう意味を持つかというところまでを明確にしているというか、彼が目撃してきたことだぞというのが色濃い。いままでだってそうだったかもしれないけれど、いっくんはエンターテイナー色が強いのもあり、狂言回しとして私の目には映っていたので(それにしたって過去最高の狂言回しだった)、ルキーニが語り部以上の語り部としてあの世界に生きていたなぁと、このたび初めて思ったのでした。
あと、改めてトートダンサーズの振付が好きだなぁと思う。それまでがどうかよく覚えていないけれど、閣下のちょっぴり中性的な香りではなく男のほうに寄せて身体能力とか胸や腕の逞しさをぐわっと見せているところなど。俯き加減で跳ぶアントルラッセのかっこよさときたら!
以下、主要なキャスト別にざっくりと。
エリザベート(オーストリア皇后):蘭乃はな
トート(黄泉の帝王):井上芳雄
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝):佐藤隆紀
ルイジ・ルキーニ(エリザベート暗殺者):成河
マックス(バイエルン公爵・エリザベートの父):大谷美智浩
ゾフィー(オーストリア皇太后・フランツ・ヨーゼフの母):涼風真世
ルドルフ(オーストリア皇太子):京本大我
ルドヴィカ(バイエルン公爵夫人・エリザベートの母)/マダム・ヴォルフ:未来優希
エルマー(ハンガリー貴族・革命家):角川裕明
少年ルドルフ:加藤憲史郎
@帝国劇場 1階J列下手サブセンター
演出とキャストを一新して昨夏上演されたものの、早くも再演。キャストの素晴らしさが世に知れ渡ったあとですし、作品自体も人気ですし、公演期間の短さも手伝って、非常にチケットが取りづらく、半ば諦めていたところへ親切なフォロワーさんに譲っていただくことができ、観に行くことができました!ありがとうございました!!主演のふたり以外は初めて見るキャストばかりで、しかも今回いちばん気になっていた成河さんのルキーニの回で、心が躍りました!!
その成河さん、後述しますが、すごいです。とにかくすごい。いままで見てきた(といっても数えるくらいしか見ていないけれど)エリザは何だったのかというくらい、最初のシーンの存在感からしてもう違っていて、そのおかげで全編通してちゃんと彼の供述が再現映像的に展開しているという感じがして、彼自身の存在感も然りながら、彼がいることによってその場面がどういう意味を持つかというところまでを明確にしているというか、彼が目撃してきたことだぞというのが色濃い。いままでだってそうだったかもしれないけれど、いっくんはエンターテイナー色が強いのもあり、狂言回しとして私の目には映っていたので(それにしたって過去最高の狂言回しだった)、ルキーニが語り部以上の語り部としてあの世界に生きていたなぁと、このたび初めて思ったのでした。
あと、改めてトートダンサーズの振付が好きだなぁと思う。それまでがどうかよく覚えていないけれど、閣下のちょっぴり中性的な香りではなく男のほうに寄せて身体能力とか胸や腕の逞しさをぐわっと見せているところなど。俯き加減で跳ぶアントルラッセのかっこよさときたら!
以下、主要なキャスト別にざっくりと。
■蘭乃シシィ
歌は正直、前回同様かなという印象で、地声と裏声のバランスがあまり心地の良いものではありませんでした。でも今日は、このシシィの中に、この世で生きる場所を見つけられなかったというか、間違えてこの世に生まれてしまったような、窮屈さやもどかしさのドラマを見る思いでした。ずっと残してきた最後のマッチを燃やして生きるしかなかった感。しかもそれはたぶん、トートの翼の一部でできたマッチ。
シシィ絡みで好きな場面がいくつかありまして、ひとつがヴィンディッシュを抱きしめるところと、もうひとつがルドルフの墓前でトートに突き放されるところ。前者は皇后として生きているのか死んでいるのか漂っているみたいな彼女が、ちょっとかけ離れたように思われるところに羨望を抱くのが、いいなと思います。後者は、接吻をくれようと思わせる閣下がえろいから!………だけではなく(笑)その瞬間に彼女の顔に浮かぶ絶望みたいな色。死にすら拒まれて、このときの彼女の居場所は、ゆくあてさえも、どこにもないという状況。
それから、シシィが最後にトートの首に抱きつくところ。旧演出のときは崇高な印象を受けたのだけど蘭乃さんからは娘とか女を感じるのです。
■ちびルド憲史郎くん
タムくんで見たときよりずいぶん大きくなっていてびっくりしました!ママどこで見せる、抱きしめたくなってしまう、寂し気で頼りない雰囲気が、きっと普段の姿と正反対なのかもしれないな、なんて、健やかに盛り上がった頬を見ながら思います。ここで直ちに捕って食わなかったトート閣下の理性は尊敬に値します。冒頭でひとり抜きんでたソロパートがありますが、これのまっすぐな伸びが素晴らしい!相変わらずロビーで口の端に上るのは「子ども店長の弟」という呼び方なのが気に食わないけれど、雰囲気が本当にお兄さんにそっくりで、可愛らしいのです!
■京本皇太子
よいルドルフでした!綺麗な顔立ちと雰囲気はいかにも育ちが良さそうで、声には精悍さというか、使命に燃えるまっすぐさというか、そういう響きがあって、でも顎がすごく細くて。トートの顎掴んで口づけるなんて聞いてないです!見たこともないです!ごちそうさまでした!!!
そういえば今日の闇広、いつになく完全にトートの掌の上って感じがしました。皇太子が翻弄される感じの強いナンバーではありますが、抗おうという彼自身の意思はどこにもなくて、そうせざるを得ないからそういう態度を示している、ような。情熱をもって革命運動に邁進しているふうだけれども、その実、虚しい、みたいな。かと思えば死の接吻でのアグレッシブさは、シシィを奪い合う関係にもなりそうで、まぁある意味そうだけどそのきっかけとして皇太子がトートの唇を奪ったようにも見えて。顎を掴まれた瞬間のトート、驚いてから「上等だ」とばかりに不敵に微笑むの反則…(もっとやって)
■涼風皇太后
涼風さんと言えば、私にとっては「レベッカ」のダンヴァース夫人が印象的だったので、粘着質で怖そうな皇太后なのかと想像していましたが、思いのほかあっさりとした男役のスパイスを入れてきたくらいでした。いえ、怖かったですけれどね。ちょっと仙女のような不老不死感を味わえてしまったのは、きっと可愛らしいお顔立ちのためかなぁ。
「宮殿唯一の男」と呼ばれるまでに、このほっそりした横顔の夫人がどのような辛酸をなめながら生きてきたのか…って、前回の剣さんのときも同じようなことを思った気がする…
■佐藤フランツ
この方の声がもう若いころから苦悩を湛えていて、悲劇が起こるしかないって感じがしました。母である皇太后から教育を受け、生まれついた家の使命とはいえ抑圧されて、そんなフランツがシシィに惹かれたのは至極自然なことだったと説得力がありました。「ルドルフ」でも苦悩を秘めつつも息子に厳しくあたる人物という印象が強い皇帝陛下ですが、鍛冶屋になりたかったフランスの王様のように、羊飼いに生まれたかったイングランドの王様のように、きっと彼にもなりたかったものがあったのだろうと思われました。佐藤さんならなんてお答えになるかしら?とにかくすっごくシシィを愛していて、本当にこのひとに幸せになってほしかったです。1幕で、シシィの部屋の前でエリーザベーって呼びかけるの、とても美しく響かせていたのが悲痛で……こんなにフランツの末永いしあわせと、シシィとの心安らかなを老後を願ったことはありません……
バートイシュルから「夜のボート」まで、お若い頃も晩年もまるで違和感(さも演じている感など)がなくて、でも変わらずいつまでも純粋にシシィだけを愛しているのが伝わってくる。その気持ちは年月を重ねても瑞々しく見えるの。佐藤さんのフランツ、好きです。
■芳雄閣下
ますますすてきなトート閣下……もう一度見たいという願いが叶ってうれしい!高圧的で、俺様で、でもどこか少年のようでもあり。シシィに振られるたびに、なんでこの女は俺になびかない!って思っていそうなお顔がかわいいのです……これが最高なのが体操室かな。いよいよ死に気持ちが傾いてきた彼女に嬉々として、「それがいい、エリザベート……!」と変装を解くの。顔がパァァって輝いている音がします。ほかにも、銃身を舐めたり、ナイフを舐めたり、もう閣下の仕草がエロすぎ案件が多すぎてもう。かと思いきや、ママどこでちびルドに伸ばすように見える手や、その時の顔つきなんかがちょっと切なそうに見えたりも。このひとは最初からこんな風に存在していたのかしら?それとも血が青くなる前があって、ほかの多くの人間と同じにあれこれに一喜一憂したりしたのかしら?シシィへの恋はいつぶりかしら?などなど…どうしてもトートの起源を考えてしまうのでした。
これを絡めつつ「最後のダンス」では、トートは恋の情熱に冷たくなって久しい(いつからこうなのか、初めからなのか)血を滾らせ、シシィは羽を切られて死んでゆく……逆転するのが見えたような気がしたのです。
前回観た時のような、いくルキにしたみたいな絡みをしてゆかなかったなぁ……というのはちょっと残念だったところ。相手が違えば違う動きをするのは道理だと思うけれど、正直ちょっと期待はしていましたw このふたりが絡むのと絡まぬのとでは、見え方が違うように思うから。
■成河ルキーニ
今回いちばん観たいと思っていたのが彼です。本当に、観られてよかった!彼がね、すごいのです。ルキーニはこの作品で語られるシシィの物語の語り部であり、狂言回しだと思っていたし、実際にそういう位置づけかもしれませんが、そしてそれは変わりませんが、今日出会ったのは、それを遥かに超えていました。彼の供述の再現ドラマ(超リアル)に見えるのです。なんだかちっともうまく言えないけれど、成河ルキーニのおかげで違う作品に見えたくらいでした。この男の衝動が歴史の大きな流れを変えてしまっていて、でもそれが死にも突き放されてしまった彼女の願いを叶えたのかなぁとも見えて。でも彼にとっては些細なことで。「ビッグフェラー」でも感じたことだけれど、暗い衝動を抱えた役の成河さんこわい。すごい。輝く。
とにかくもうすべてがブラボーでした。がなり立てた直後にあの絹糸を流した川のようにさらさらと心地よい素敵なお声で歌になるのが、本当に好き。冷徹な眼差しと、衝動的に湧き上がる狂気の、冷たいものと熱いものの両方を成河ルキーニに感じます。これを見たあとですと、いっくんはエンターテイナー色が強かったなぁ、と思います。おふたりとも好き!
このたびの演出改訂後に登場したルキーニのために、この作品を好きになってしまったかもしれません!
歌は正直、前回同様かなという印象で、地声と裏声のバランスがあまり心地の良いものではありませんでした。でも今日は、このシシィの中に、この世で生きる場所を見つけられなかったというか、間違えてこの世に生まれてしまったような、窮屈さやもどかしさのドラマを見る思いでした。ずっと残してきた最後のマッチを燃やして生きるしかなかった感。しかもそれはたぶん、トートの翼の一部でできたマッチ。
シシィ絡みで好きな場面がいくつかありまして、ひとつがヴィンディッシュを抱きしめるところと、もうひとつがルドルフの墓前でトートに突き放されるところ。前者は皇后として生きているのか死んでいるのか漂っているみたいな彼女が、ちょっとかけ離れたように思われるところに羨望を抱くのが、いいなと思います。後者は、接吻をくれようと思わせる閣下がえろいから!………だけではなく(笑)その瞬間に彼女の顔に浮かぶ絶望みたいな色。死にすら拒まれて、このときの彼女の居場所は、ゆくあてさえも、どこにもないという状況。
それから、シシィが最後にトートの首に抱きつくところ。旧演出のときは崇高な印象を受けたのだけど蘭乃さんからは娘とか女を感じるのです。
■ちびルド憲史郎くん
タムくんで見たときよりずいぶん大きくなっていてびっくりしました!ママどこで見せる、抱きしめたくなってしまう、寂し気で頼りない雰囲気が、きっと普段の姿と正反対なのかもしれないな、なんて、健やかに盛り上がった頬を見ながら思います。ここで直ちに捕って食わなかったトート閣下の理性は尊敬に値します。冒頭でひとり抜きんでたソロパートがありますが、これのまっすぐな伸びが素晴らしい!相変わらずロビーで口の端に上るのは「子ども店長の弟」という呼び方なのが気に食わないけれど、雰囲気が本当にお兄さんにそっくりで、可愛らしいのです!
■京本皇太子
よいルドルフでした!綺麗な顔立ちと雰囲気はいかにも育ちが良さそうで、声には精悍さというか、使命に燃えるまっすぐさというか、そういう響きがあって、でも顎がすごく細くて。トートの顎掴んで口づけるなんて聞いてないです!見たこともないです!ごちそうさまでした!!!
そういえば今日の闇広、いつになく完全にトートの掌の上って感じがしました。皇太子が翻弄される感じの強いナンバーではありますが、抗おうという彼自身の意思はどこにもなくて、そうせざるを得ないからそういう態度を示している、ような。情熱をもって革命運動に邁進しているふうだけれども、その実、虚しい、みたいな。かと思えば死の接吻でのアグレッシブさは、シシィを奪い合う関係にもなりそうで、まぁある意味そうだけどそのきっかけとして皇太子がトートの唇を奪ったようにも見えて。顎を掴まれた瞬間のトート、驚いてから「上等だ」とばかりに不敵に微笑むの反則…(もっとやって)
■涼風皇太后
涼風さんと言えば、私にとっては「レベッカ」のダンヴァース夫人が印象的だったので、粘着質で怖そうな皇太后なのかと想像していましたが、思いのほかあっさりとした男役のスパイスを入れてきたくらいでした。いえ、怖かったですけれどね。ちょっと仙女のような不老不死感を味わえてしまったのは、きっと可愛らしいお顔立ちのためかなぁ。
「宮殿唯一の男」と呼ばれるまでに、このほっそりした横顔の夫人がどのような辛酸をなめながら生きてきたのか…って、前回の剣さんのときも同じようなことを思った気がする…
■佐藤フランツ
この方の声がもう若いころから苦悩を湛えていて、悲劇が起こるしかないって感じがしました。母である皇太后から教育を受け、生まれついた家の使命とはいえ抑圧されて、そんなフランツがシシィに惹かれたのは至極自然なことだったと説得力がありました。「ルドルフ」でも苦悩を秘めつつも息子に厳しくあたる人物という印象が強い皇帝陛下ですが、鍛冶屋になりたかったフランスの王様のように、羊飼いに生まれたかったイングランドの王様のように、きっと彼にもなりたかったものがあったのだろうと思われました。佐藤さんならなんてお答えになるかしら?とにかくすっごくシシィを愛していて、本当にこのひとに幸せになってほしかったです。1幕で、シシィの部屋の前でエリーザベーって呼びかけるの、とても美しく響かせていたのが悲痛で……こんなにフランツの末永いしあわせと、シシィとの心安らかなを老後を願ったことはありません……
バートイシュルから「夜のボート」まで、お若い頃も晩年もまるで違和感(さも演じている感など)がなくて、でも変わらずいつまでも純粋にシシィだけを愛しているのが伝わってくる。その気持ちは年月を重ねても瑞々しく見えるの。佐藤さんのフランツ、好きです。
■芳雄閣下
ますますすてきなトート閣下……もう一度見たいという願いが叶ってうれしい!高圧的で、俺様で、でもどこか少年のようでもあり。シシィに振られるたびに、なんでこの女は俺になびかない!って思っていそうなお顔がかわいいのです……これが最高なのが体操室かな。いよいよ死に気持ちが傾いてきた彼女に嬉々として、「それがいい、エリザベート……!」と変装を解くの。顔がパァァって輝いている音がします。ほかにも、銃身を舐めたり、ナイフを舐めたり、もう閣下の仕草がエロすぎ案件が多すぎてもう。かと思いきや、ママどこでちびルドに伸ばすように見える手や、その時の顔つきなんかがちょっと切なそうに見えたりも。このひとは最初からこんな風に存在していたのかしら?それとも血が青くなる前があって、ほかの多くの人間と同じにあれこれに一喜一憂したりしたのかしら?シシィへの恋はいつぶりかしら?などなど…どうしてもトートの起源を考えてしまうのでした。
これを絡めつつ「最後のダンス」では、トートは恋の情熱に冷たくなって久しい(いつからこうなのか、初めからなのか)血を滾らせ、シシィは羽を切られて死んでゆく……逆転するのが見えたような気がしたのです。
前回観た時のような、いくルキにしたみたいな絡みをしてゆかなかったなぁ……というのはちょっと残念だったところ。相手が違えば違う動きをするのは道理だと思うけれど、正直ちょっと期待はしていましたw このふたりが絡むのと絡まぬのとでは、見え方が違うように思うから。
■成河ルキーニ
今回いちばん観たいと思っていたのが彼です。本当に、観られてよかった!彼がね、すごいのです。ルキーニはこの作品で語られるシシィの物語の語り部であり、狂言回しだと思っていたし、実際にそういう位置づけかもしれませんが、そしてそれは変わりませんが、今日出会ったのは、それを遥かに超えていました。彼の供述の再現ドラマ(超リアル)に見えるのです。なんだかちっともうまく言えないけれど、成河ルキーニのおかげで違う作品に見えたくらいでした。この男の衝動が歴史の大きな流れを変えてしまっていて、でもそれが死にも突き放されてしまった彼女の願いを叶えたのかなぁとも見えて。でも彼にとっては些細なことで。「ビッグフェラー」でも感じたことだけれど、暗い衝動を抱えた役の成河さんこわい。すごい。輝く。
とにかくもうすべてがブラボーでした。がなり立てた直後にあの絹糸を流した川のようにさらさらと心地よい素敵なお声で歌になるのが、本当に好き。冷徹な眼差しと、衝動的に湧き上がる狂気の、冷たいものと熱いものの両方を成河ルキーニに感じます。これを見たあとですと、いっくんはエンターテイナー色が強かったなぁ、と思います。おふたりとも好き!
このたびの演出改訂後に登場したルキーニのために、この作品を好きになってしまったかもしれません!