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小林十市さんによるベジャール・レパートリー・ワークショップ「ギリシャの踊り」
ベジャール・バレエ・ローザンヌで活躍され、第一線を退かれたあとも演劇界でその名を轟かせたり、ベジャール作品の振付指導にあたられたりしている小林十市さん。基礎に近い初級でまだあたふたしながら盆踊りをしているレベルでは、到底ご指導賜ることなどなく(ちょっと飛び込む勇気は…)、ましてベジャール作品ともなれば一種の禁じ手とさえ思われるものでありました。



しかしこんな夢のような企画には、持てる力は例え盆バレエでも飛びつかずにはいられませんでした。だって、大好きな作品に触れられるまたとない機会!!唯一参加できる週末だけ、参加してきました。
いずれの日も軽いバーで始まり(でも順番覚えられなかった…)、そのあと踊りに入りました。2日目にひたすらロンドやったのが、先生さえ苦笑するほどただひたすら。デリエールの位置がわからなくなりました(笑)。


◆6/28(土)

「ベジャール作品をこうして取り上げるのはバレエ団に指導して以来。バレエ団では踊れるようにしてゆきますが、今日はベジャールさんの作品ってこんなだよっていう感じでやってゆきましょう。ただボスの許可は得ていないので(笑)抜粋です。ジルに聞いて、ここなら、というところを」

女性パートが幾つか輪唱的に踊るところの、上手の前側にいるグループの振付とのこと。全体のうち割と序盤だったかと。

「視線でメリハリを。全部クラシックのポジションが基本」

ベジャールさんの作品はクラシックの基礎がないと踊れないと聞いたことがありますが、本当にその通りでした。普段のアンバーを外側に出し気味にしたり、横の腕はまるっきりいつも通りだったり、そもそも初めの一歩がエファセ、と言った具合に。テクニック的なことは、もっとひねるとか低くとか足さばきを大きくとか、踊り方を兼ねて見せ方にも繋がる点を指摘。

「これじゃみんな仲良し〜になっちゃうから、しっかり抱きしめてください」

そう、ちょっとのことだけれどまるで別物になってしまうというのが、数十秒の中に何カ所もありました。振付家の振付は作品を形作ることばであるから、基本的には一言一句違えてはならぬのです。やっていることはシンプルなのだけど、そこに正確さや意図やニュアンスが絡み出すと難しい。先生ご自身でも難しいと仰るほどに。最初、全然振りが入らないところがあり、そこ大丈夫?と抜き出してくれたのがとてもありがたかったです。これが皮切りになった感じはありましたが、わからないところを質問しやすく、ひとつの動作・ポーズのニュアンスに至るまで、それは細やかに!
腰を波打たせる振りがあって、前日に受けたジャズコンテのお陰で当方比ながらよく動かせたと思いますが、クラシックを主にされてる方がほとんどだったようで、苦労されてる方が多かった印象。やはりクラシックでこういう動きはふつう出てこないか。

「ネオクラシック的な要素、腰を柔らかく使ったり、ベジャールさんの作品ではそういうのが案外大切です」

と、「ニーベルンゲンの指輪」(?)か何かでVaを踊った時に、くねくねするところだけ毎回褒められたエピソードもご披露。これベジャールさん80歳記念のトークショーでも仰っていました!よほど印象的な出来事だったのだろうな。


◆6/29(日)

この日は最後のナンバー、これぞ「ギリシャの踊り」というさざ波と一体化する動きの辺り。

「止めるところはどこにもないです。アクセントもつけない。間を深いお腹の呼吸で繋げて」

今日のところも、簡単そうに見えて奥が深い。いやきっと簡単なことなどひとつとしてないのだと思います。さて、ここで見せたいのはデヴェロッペする腕の動きだとか、脚は6番のままプリエを深くとか。持ち上げる足や腕にも角度や位置が思いのほか事細かに決められていたり。5つ刻みで上半身が正面斜め上を向く時にも

「そこの手は演歌にならない!(笑)」

…難しい(笑)。昨日同様、ちょっとした違いでニュアンスがまるで変わってしまう!私は骨盤ごと前に向いてしまったのと、腕が閉じ気味で小さくなっていたのが違っていて、

「付け根はこっち(イン)のまま、胸で前を見て」

腕もただポイとやっているわけではなく、かと言ってバレエ的でもないのです。

「(並行にした両腕を斜め下に差し出すポーズ)物を置く感じ。腕は体より外に出るけど前屈みにはならないで。(腕を閉じて開くところで)腕はジャーン☆って唐突に開かないwww 腕より胸を使いましょう。体の向きはこう、エジプトのお土産みたいな」

出ました語録、エジプトのお土産。印象的な表現があると、注意を引きますね。某スタジオの先生たちのように大爆笑を誘っては、笑いのインパクトで肝を忘れてしまいますが(笑)。因みにここ、「ボレロ」みたいに足も踏むのだけれど、あまり大袈裟に踏まず、見せたいのは胸と付随する腕なのだそう。
全体的に、前日より体幹を意識させる振付だった印象。あと音取りが少し難しかったです。カウントで踊れないといけないことを、ここでも実感しました。たぶん舞台の中心にはソロがいて、そちらとの掛け合い(と言うかタイミングのズレによる味)も入ってくるのだと思いました。

“ダンスには、生と死と愛しかない”という事を言ったベジャールダンサーがいたけれど、2日間のワークショップを通して感じたのは、まさにそんな風に極限まで削ぎ落とされた真の姿のようなものがベジャールさんのことばだったのかもしれないということでした。

両日とも和気藹々とした雰囲気だったのは、先生が十市さんだからなのかな。大人バレエの集団相手でも妥協なく、常に真剣、絶対にalmost goodで流さない。ちょくちょく気になるところで止めては、ひとりのおかしなところを指摘して、それを全体にも喚起してくださいました。とことん丁寧に、そして着実に作品としての密度を高めてゆく、素晴らしく贅沢な経験をさせて頂けました。こんなワークショップが実現したのも、きっと十市さんだったからこそだと思います!

大好きな作品の振付を齧らせてもらって、偉大な創作の魂に少しながらお目通りが叶った気分で、とても幸せなひとときでした!十市さん、ありがとうございました!同じく作品を愛する仲間たちと、この時間を共有できたのも嬉しかった。たくさんのひとに、ありがとう。

こんな素晴らしい機会を得られた巡り合わせに感謝します。またこういう企画が実現したらいいなー!


両日とも、スタジオ アーキタンツにて
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