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この夏、展示会もう3つ
■特別展「深海 挑戦の歩みと驚異の生きものたち」2013/07/27

 海の底や宇宙は、好奇心をくすぐられつつも少し怖い…という神秘的な感覚があります。深海なんて、常に光が届いて魚たちが集まったり散ったりしている珊瑚礁と違い、いつ何が目の前を横切るかわからない、この闇が何に続いているかわからない、そういった吸い込まれそうな怖さがあります。

 序盤、いきなり深海の温度を体感できたり(アクリルだかガラスだかの表面温度を触ってみることができる)、貴重なホルマリン漬けが展示されていたり(水族館ではないので生き物の展示はない)、終盤では食卓に上る深海魚が食品サンプルとともに紹介されていたりという日本人ならではの感覚も見ることができました。意外と日常でも口にするのですね、深海魚。とはいえ、浅い水深から深海までを泳ぎ回る生息域の広い魚が多かったです。

 この展示の目玉はダイオウイカですが、これも本物は勿論ホルマリン漬けで、白くふやけています。マッコウクジラが食餌とし、その鼻先を傷つけるほどのパワーと体格を持ったダイオウイカであるのに、彼らの攻防が繰り広げられるのは光も届かぬ深海。ゆえに実際の光景は未だ日の目を見ませんが、いずれその日も来るのかもしれません。全部が解明されてしまうと、吸い込まれそうな怖さのある深海はどのような世界になってしまうのでしょう。

 いまでこそそんな風に新事実が発見されたり、解明されたりしていますが、それをできるような技術が発達する以前に、地球環境の変化で未知のまま永久的に眠ってしまった生命の物語だってあるはずです。想像も及ばないけれど、誰にも知られないまま消えてしまった世界にも、思いを馳せたくなりました。

 ところで、とてもツボだったのがメガマウスという魚。その名の通り、口が巨大なのです。何故だかじわりじわりと笑いのツボを刺激され、展示会場をあとにしても暫く笑っていると言う有様でした。

於:国立科学博物館


■浮世絵 Floating World〜珠玉の斎藤コレクション 2013/08/18

 浮世絵の有名どころといえば、北斎や歌麿、国芳といったあたりが筆頭に上がるのでしょうが、誰の手によるものかは私にはあまり関係ありませんでした。絵師が生きた時代、絵師の目に映ったもの、それらが絵師の感覚を通して数百年後にまで伝わっていると言う不思議なめぐり合わせが面白く、また写真並みに細かな記録と、写真以上に洒落た印象的な構図は、ずっと見ていても飽きません。

 特に印象に残ったのは、輪郭線をぼやかした浮世絵。とても新鮮でした。絵師は小林清親。僅かに揺らぐ水面に映る光の表現が、西洋で言うところの印象派に通じそうなところがあって、大胆かつリアルな着物の皺や、ざっくりとしたポーズのいわゆる浮世絵の王道とは一線を画していました。他の絵が、記録的な写真を見ている感覚ならば、清親の作品は挿絵か絵画を鑑賞しているくらい、展示室の色合いからして違っていました。彼は社会的な事情で画風を‘いわゆる浮世絵’に変えてしまったそうで、残念でした。

 ところで、本展示会で最も大きな出来事は、浮世絵ではないところから起こりました。浮世絵に影響を受けた画家の作品も要所で公開されていたのですが、その中に、10年ほど前にブリヂストン美術館の企画展で出会った作品があったのです!まさかの再会に大興奮でした。ヴィクトール・プルヴェの「阿片」という、淡い色鉛筆画のようなリトグラフです。初めて見たときになぜかとても惹かれるものがあり、色々と検索したのですがなかなかオンラインで画像を見つけられませんでした。今でもカラーのものを見つけることはできませんでしたが、雰囲気だけでも

於:三菱一号館美術館


■杉江みどり 切り絵展 2013/08/18

 杉江さんは文楽の切り絵を作られる方です。猫や犬の可愛らしい作品もありますが、私は文楽を通して出会いました。色使いや線がどうのというのはないのですが、再現力の高さが物凄く、遣い手の感情がこもった表情に見えるのです。文楽が見たくてたまらなくなりました。

 「天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)」の再々演を待っているのと、歌舞伎で見た「熊谷陣屋」を文楽で見てみたいという思いが強くあります。他の観劇やらでなかなか都合がつかないのですが、文楽好きなのですよ。

 猫の切り絵では「盗っ人被り」という、黒いイケ猫が盗人のように手拭いをかぶり風呂敷を背負っている作品が気に入りました。背中の風呂敷は若干膨れており、目尻と瞳孔の尖った目は鋭いのだけれど、ちゃっかり仕事をしてきたあとと思うとなんだか可愛くて仕方ありません。

 杉江さんの作品のごく一部を見ることができるページ

於:ギャラリーくぼた
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