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舞台・映画などの鑑賞記、感動をそのままに。
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かがみのかなたはたなかのなかに
近藤良平、首藤康之、長塚圭史、松 たか子

@新国立劇場 小劇場 D4列(14列目)センター下手寄り


 思いがけないものが世界の均衡を保っているというか、それが見えないくらい身近に存在していて、ふとすると気づかないまま失って(抹消して)、失調してから気づいて、虚ろな中で、あぁ…って思う。

 妬ましいものが誰かを支えていたり、欲しいものや憧れているものが誰かの心を騒がせていたりする。鏡の動きや鏡喋り“しもしーも”が子供達を笑わせるけれど、最後はブラックユーモアでキュッと締める。好きだわこれ!自分のいない場所だけれど自分の生きている世界とそっくりの世界が、見えない隣にあったりするかしら、と思いを馳せました。「音のいない世界で」もそうなのだけど、長塚さんの新国立劇場シリーズ、映像でも絵本でもいいので手元に欲しいです。

 開演前のロビーにも非日常が紛れ込んでいて、数センチの距離で首藤さんを拝見。役に入った時の天上のもの感すごいよ首藤さん…美しすぎて息を飲みました…(✽ ゚д゚ ✽) ロビパフォの長塚さんの印象で本編が始まったら、それはもうビックリしましたよね、だってコイケ…笑

当日の呟きはこちら
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シレンシオ
出演者(敬称略)

原田知世
梶原暁子
川合ロン
藤田桃子
小野寺修二
首藤康之

@東京芸術劇場プレイハウス 1階O列センターブロック下手寄り

 「空白に落ちた男」で描ききれなかったもうひとつの部屋を開けたような、小野寺幾何学がそこにありました。空白で言えばあの場面に相当する、と言うのが幾つも見られ、でもあれよりもっと大人の童話的な感じがしました。原田さんの佇まいがそもそもそんな印象でしたので、空白の世界に彼女を加えると、シレンシオに色を変えるのかもしれません。

 空間の行き来が驚くほど自由な小野寺幾何学。何もないところをあたかもあるようにマイムで見せる、或いはしっかりと存在するものを無きものとして扱うなど、2回くらい前の瞬きまではそこにあったものが、いま別のものに姿を変え、あれっと思うが早いか自分と見知らぬ男の立場が逆転している…とか。コース料理を味わうときに次々と配膳されるものの循環や、着ようとした上着が誰のものかとか、もう何が真実なのか、何が本来の姿なのか、どこまでが現実なのか、境界線が溶けてしまっていて心地が良いです。

 吹き込む風で新聞が暴れるのや(爆笑!その後、第三者的な探りの視線を感じさせる演出が少し怖かった)、幾つもの机や人を隔てながらひとりの相手と向かい合っているのが、面白い!当事者と傍観者の入れ替わり、始めと終わりでカウンターを逆から見ている、視点をひょいと裏返してしまう鮮やかさたるや…。どのような世界を見せてくれるのか、と期待して劇場に入ったけれど、終演後には、小野寺さんにはどのように世界が見えているのか、と考えていました。

 ベニサンで見た空白以来の梶原さんのダンスに釘付けになりました。死体と少女を兼ね備えた風のような踊りが好きです!倒れるときも起き上がるときも、するりと滑らかなのが人間離れしています。

 首藤さんには今回もソロパートあり!ストイックな気品に溢れた、清涼感があるのだけれど悩ましげなところもある、不思議な色気を放つ踊りに酔いました。

 「空白に落ちた男」の感想:初演再演
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音のいない世界で
キャスト(敬称略)

近藤良平:泥棒(兄)、おばあさん、羊、棒のおとこ、フクロウ
首藤康之:旦那さん、おじいさん
長塚圭史:泥棒(弟)、穴掘るひと、カンの国の兵士
松 たか子:セイ、羊飼い、ゲンの国の兵士

@新国立劇場 小劇場 D3(12)列センターブロック下手寄り

 ふしぎな寓話の世界を覗いて来ました。音は‘さいわい’とか‘おもいで’とか‘ものごころ’とか‘ふんべつ'みたいなもの、砂糖を甘いと感じるような、清水を冷たいと感じるような、そんなふうに当たり前になっている‘かんかく'や‘がいねん'や‘ものさし’のようなものなのかもしれないと思いました。或いは、目に見えないけれど心にともる‘ともしび'。楽器を武器だと思って戦争を始めるひとたちと違って、私にはまだ音は聞こえていると思う。そうでありたい。カタルシスには今一歩であったかも知れないけれど、このお話を抱きしめて眠りたいです。優しくて、ぬくい気持ちになるこのお話を。

 ダンサーふたりはさすがの身のこなしでした。さりげない回転が本物ですし、指の一本まで見せ方が振付のように計算されている感がありました。見せ方といえば、小さい舞台ながら盆を駆使し、屋内・屋外・道ゆき・場面転換などを盆の回転で表現していました。据え置きの装置としては、正方形のアクリルか何かを格子状に並べて家を象った衝立みたいなもの。上手側と下手側にはドアくらいの大きさの長方形の穴、中央は一部素通しのようでした。曇って見えるシートが部分的に貼ってあり、途中それを剥がしたりする場面もありました。

 以下、プログラムに掲載された場ごとの小タイトルを元に(そのまま載せるわけにはいきませんので)、粗筋がわかるように書き留めておきます。

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DEDICATED2012 IMAGE
首藤康之
中村恩恵

@神奈川芸術劇場 ホール 1階10列上手ブロック


 DANCE DANCE DANCE YOKOHAMAの、これが最後の企画公演でしょうか。あえてカテゴライズするなら、もしかしたら舞台というより映像かもしれませんが、何だか新鮮な感覚で、映像の強み(スローモーションで降羽が肌に貼りつく様子までとらえた部分や、水に手を突っ込むカットや、絡み合う様子を真上からとらえた構図など)も感じずにはいられませんでした。


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ウィル・タケット×首藤康之「鶴」
演出・振付/ウィル・タケット
出演/首藤康之(夫)、クリストファー・マーニー(妻)、キャメロン・マクミラン(カササギ)、エマ・ブラントン(鶴乙女)、ヌーノ・シルバ(カラス)、後藤和雄(クジャク)
尺八演奏/藤原道山
ナレーター/ユアン・ワードロップ

※鶴乙女はナオミ・コビーとのダブルキャストのようでしたが、配役表を確認してこなかったため藤原さんのツイッターから拾った情報です。

@神奈川芸術劇場 ホール 1階15列センターブロック上手寄り

 芸術の粋を花、花器をホールに例えたら、この作品はまさに生け花。普段なら一緒に咲かないような花が一箇所に寄り添って、ずっと昔からそこにおりました、という顔をしているような感じでした。言葉と踊りと物語が、もの哀しく葦をかき乱す風の音のような尺八や、幻想的な弦楽と渾然一体となった、本当に美しい作品でした。こういうつくりをしたものでロイヤルオペラハウス版の「兵士の物語」との血縁を感じるのも、どちらもウィル・タケットによる作品という共通項から道理でしょうか。

 本当に美しかった。音、色、織物、光、いきもの、全てを桐の細工箱にでもしまって持ち帰り、眠る前に消灯した部屋で再び開けたい。古い絵巻物から溢れてきた美しく、優しく、清らかな、時にコミカルな情景の数々に息を呑む思いです。詩的な言葉まで織りの木目が滑らか。体言が印象的でした。更に尺八のハスキーな唄が慈しむように糸を絡ませます。純和物がこれほどまでに横文字の文化と添い遂げるなんて思いもよらず。音楽が欲しいです…!心に温かく沁みる。鶯姫が開けてしまう不思議な箪笥のように、この舞台が手元に展開しないものかと切実に思います。有名な昔話を脊柱にして、乾いてくたびれた夫婦間の灰白色や、娘がもたらした春の如き温もりなどなど、様々な情感で肉づけされて、見応えありました。

 余談、ユアン・ワードロップって聞いたことあると思ったら、マシュー・ボーンのくるみDVDにプリンス・ボンボンで出ていたのですね!(来日公演未見のため)名前に覚えがあったし、ダンサーと絡んだときのアームスが踊る人のそれだったので、納得しました。

 以下、流れをメモ。“ ”内はナレーション、大意のみ。順序など記憶違いや抜けがあるかもしれません。
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「今日と明日の間で」

 自分でこれぞと思うものと真摯に向き合い、真剣に取り組み、極めたと思われながらも妥協せずに探求をやめず、予想を遥かに超える先へ軽やかに飛んでゆく人は、本当に美しい。そうやって生きている人は、本当にカッコイイ。

 彼と同じ時代に生まれ、彼の紡ぎだす表現に触れることが出来、更にその言葉を聞けるのは、本当に誇らしくて幸せ。彼が不器用ではなかったら、それでも魅力的には変わりないかもしれないけれど、これほどだったろうかと思うほど。

 首藤さんが踊り続ける限り、私も見つめ続けたい。その世界に浸りたい。胸がいっぱいで、うまく言葉が出てきません。「鶴」が楽しみでなりません。

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DEDICATED

 首藤さんのダンスを拝見するのは、昨夏の「空白に落ちた男」以来。中村さんはお初にお目にかかります。小野寺さんとの共同作業で生まれた新作ソロもお披露目とのことで、とても楽しみにしていました。

 今まで前を通りかかるだけだったKAATに今回初めて入りましたが、エントランスホールから大スタジオのある5階までが吹き抜けになっていて、広々として感じます。NHKの横浜放送局が隣立しているためか、ホールの大きなモニターにはNHKのチャンネルが映っていました。階段はホールから3階に上がるところのみでしょうか、あとはエスカレーターが動きっぱなし。節電が声高に言われる中、ずいぶんと思い切った消費をなさる劇場だと思いました。モニターを消すとか、センサー式のエスカレーターにするとか、すればいいのに。或いは、屋上にはソーラーパネルでもあるのでしょうか。と言うお話はさて置いて。

 5階に上がると、左側が大ホール、右側が大スタジオになっており、大ホールの方からは「DEDICATED」と同日(6月17日)に初日を迎えた「太平洋序曲」の音響が漏れ聞こえてきました。モギリのスペースは狭く、また奥行きもさほどではないので、とっとと中まで入らないとあとの人がどんどんつかえて入場の列が滞ってしまう始末。>>>ボヤキ>>>取材関係者か身内かと思しき人々が一番最初に入場し、すぐのところでもたついていたため、とても鬱陶しかったです。上演前後に関わらず、また出演者サイドの人間であろうと、舞台関係者の劇場マナーが悪いことが稀に目に付くのは頂けませんね。特に目を惹く存在なので、そういうのを見てしまうと悲しい気持ちになります。私自身はいつでもどこでもひとりの観客に過ぎませんが、同胞たちと集まったときは努めて態度に気をつけようと改めて思いました。<<<ボヤキ<<<
 ちなみに本日は、ダンサーと思しき方が多く見えていました。友佳理さんの姿もありました。

 劇場内は、オレンジ色の椅子が千鳥ではない格子状に配列されており、肘掛はありません。C列までは座面跳ね上がり、D列以降は固定のようです。床の感じや、歩くと振動が伝わってくるのを鑑みて勝手に想像すると、C列までは可動式でしょうか。上手・下手の前方席サイドのスペースに臨時席が計10脚程度出され、当日券分と思われました。全くの余談ですが、あの椅子に長時間座るのは苦行です。中高の講堂の椅子があの手の椅子でしたが、本当につらいです(笑)。

 以下、本編の感想です。



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空白に落ちた男 再演
キャスト(敬称略)

首藤康之
安藤洋子
藤田善宏
藤田桃子
小野寺修二

音楽:coba
美術:松岡 泉

@パルコ劇場 D列中央寄り


 ほんの少しだけいつもと違うこと、ほんのちょっとした綻び、例えば昨日までちゃんとしていたボタンの糸が今日になったら1本だけ切れて飛び出しているとか、先ほど見たときはそこに無かった椅子であるとか、そうしたごく僅かの些細なことからどんどん迷宮に入り込んでいく。糸が切れるまでに何をしていたか、椅子が現れる間何をしていたか、自分の記憶に無い自分の行動が、全く別の場所で、全く別の人物によって埋められていたとしたら、まさにこんな感じなのでしょう。

 繋がるはずの無い空間が共通の日常雑貨で繋がり、重なるはずの無い時間が迷宮の中でいつの間にか溶け合っている。初演を観た時は、舞踊とマイムによる肉体表現と、世界観の微妙な均衡に度肝を抜かれるばかりでしたが、今日改めて拝見したら、上記のような印象を抱きました。

 初演観劇時の感想はこちら


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アナタの時代
 10月26日に録画しておいた「ボクらの時代」を観ました。作家の平野啓一郎さん、ギタリストの村治佳織さん、そしてバレエダンサーの首藤康之さん(お久し振り!)の対談です。

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空白は彼方に
本日19日、確か23:00〜24:30にCS日テレにて「空白に落ちた男」を放送するそうな。

舞台を観られなかった方は必見ですよ〜!
CS放送を受信出来ない私のために録画して下さる方も大募集中です(笑)
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